19世紀のドイツにおいて、ドイツ統一と保護関税を主張したリストが、農地制度についての政策案をまとめたもの。
リストは、零細な農家が多くいる状況はドイツ経済には悪影響を与えるとし、農地制度を改革し、小規模もしくは中規模農家中心の構造に変えるべきだと主張した。農地をなくした農民は、ハンガリーやアメリカに移住させるべきだとも語っている。
リストは、数奇な生涯を送った。皮なめし職人の子に生まれ、政治的な理由で海外に亡命、アメリカでは鉱山事業に成功し、アメリカ領事として帰国し、この保護経済論などを発表した。最後は、イギリスでピストル自殺を遂げている。
そうした多彩な経験が、リストの経済政策論を、現実味あふれたものにしている。
また、経済政策が与える、政治的あるいは社会的な影響にも眼を配っているのもリストらしい。経済的に独立した、小規模もしくは中規模農家が多く育てば、税金の財源としても、軍隊の兵士としても活用でき、ドイツ全体の国力に貢献する、と論じている。
これからの日本という国のあり方、その中での経済政策と、その社会的な影響を考える上で、我々が参考にすべき点は多い。