農業政策の大転換点を彩る秀作だろう。“農林族”などを取り上げた類書はこれまでもあったが、自民党・農水省・農業団体の農政トライアングルの本質をこれほどまでに分かりやすく、また鋭く突いた書はなかった。日本農業が衰微していく中で、むしろ結束の度を強めるこの“三すくみ”の図には哀しささえ漂う。その中核をなすのがコメと一体の農協組織だ。生産調整(減反政策)は日本農業の宿痾だが、農協の生命線でもある。しかしその減反政策にもメスが入れられようとしている。需要減が続くコメについて減産だけで対応するのは水田維持・農地確保の面からも限界との意識がようやく芽生えてきた。米粉や飼料米増産への流れは減反ではなく水田の活用であり、自給率向上の新たな方途なのだ。そうした中での選択制も十分議論に値する。本書は、農協は大罪を犯したと警告を発するが、農政の活路も示している。