「農協との30年戦争」を読ませていただきました。
著者の岡本さんの挑戦と悩みは、拡大解釈すると、日本における既得利権集団を操る側の人間と隷属する(させられる)人間の縮図に当てはまるものと考えます。例えば、金融庁と銀行、銀行と中小業、国交省と建設業者・運輸業者、大企業と下請け業者、文科省・教育委員会と教員、厚労省と医療従事者、大労組と労働者などなど、この著書で記されている農協と農家の関係と基本的な支配・利権の面で共通していると言えます。換言すれば、政権が交代したというものの、政府と国民との関係も「補助金と税金」という「あめとムチ」の操作によって政治家が政権の維持・拡大を図るという状況は何ら変わりません。
「寄らば、大樹の陰」「長いものには巻かれろ」「赤信号、みんなで渡れば怖くない」「自分に害が及ばなければよい」というような依頼心と防衛心を根底にかかえた強い集団意識を大多数の国民が有していることも現実で、なかなか、正論を掲げて既得権益を有する組織と対立するという気概を岡本さんのように持ち続けることは並大抵のことではないと痛感しています。
しかし、現状の閉塞感の主たる原因に、「今までの延長線では将来は見えない」ということがあると思います。特に、市場競争資本主義が崩壊し、国家財政が破綻することも想定できる日本経済において、「補助金頼りの産業育成や生活設計」は正に自分で自分の首を絞めているようなものです。子々孫々にツケを回しているだけです。
つまり、「成熟の先に何があるか、何をすべきか」という視点での国家体制、財政・税制、産業、教育、福祉、医療、年金など日本国民の生活基盤の将来像を見据えた構造(プラットフォーム)を抜本的に変革すべき時期になっており、岡本さんが継続している「既存の利権集団たる農協の支配・圧力に屈せず、日本の農業のあるべき姿の実現に向けて、たゆまない挑戦」というものを多くの分野で共有する人々が増えていくことが、その変革の原動力になるものと確信しています。
勇気付けられる内容で、大変参考になりました。