『いのちを支えるスープ』で知られる料理研究家、辰巳芳子先生の新書。
今までの先生の御料理本は本格的なものが多く、特に男性は手に取られることを
躊躇なさったのではないかと思いますが、
本書は手軽な体裁ながら、先生の永年お伝えになってきた和のスープの真髄が
しっかりとつまった素晴らしい本です。
「玄米スープ」「けんちん汁」「しいたけスープ」といった
先生の定番料理ともいえる和のスープに加え、
たとえばだしを取った後のしいたけ・玄米等を使った料理など、
素材を大事に、そして少しでも栄養を体に取り込めるように
考えられたお料理がたくさん紹介されています。
「汁かけ飯」「葛ひき粥」「ぬちぐすい」など風邪で弱った体を
いたわってくれそうなレシピも掲載されています。
料理の「かんどころ」が丁寧に紹介されているのも嬉しい配慮です。
世の中はスピード化し、料理も手軽なものがもてはやされていますが、
こういった風潮が現代人の心身をすり減らしているように思えてなりません。
本書は普段お料理をしない方でも、あまり無理せずに
とりかかれるレシピも多く、家庭の主婦のみならず一人暮らしの方も
一冊持っていると食生活を豊かにできる、優れた料理書だと思います。