辞書の編集にどれだけネイティブスピーカーが関与するようになったとしても、日本の英語辞典の執筆の主力が依然として日本人であり、将来ともそうあり続けるのは必然である。日本人が使うためのものである以上、日本語からの観点は欠かせないものだからである。
しかしこのことは、日本で作られる英語辞典が日本人英語の呪縛から完全には脱却できないということも意味する。用例も、その大部分は日本人スタッフが書くからである。
本書は、そうした、日本人スタッフによって書かれた英文用例をネイティブスピーカーがどのように修正したのかというデータをもとに、辞書作成スタッフという“プロ”でも犯す間違いを集め、解説を加えたものである。たまたま出てきた誤りが基礎データになっているから、英文法を包括的に扱ったものではない。しかし、上級学習者でもこのような誤りを犯しうるのであり、それを先回りして学んでおくのにはそれなりの意義があるだろう。
個人的感想を言えば、中には中級者的誤りも混在しており、これを公開することは編者である日本アイアールにとって諸刃の剣ではないのかと思われるものもある。しかし、純粋に学習書としてみれば、それは日本人学習者が犯しやすい誤りには違いないので、あまりに高級な誤りばかり扱うよりも、一般学習者にとっての本書の利用価値を高めていることだろう。