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辛酸―田中正造と足尾鉱毒事件 (角川文庫 緑 310-13)
 
 

辛酸―田中正造と足尾鉱毒事件 (角川文庫 緑 310-13) [文庫]

城山 三郎
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

足尾銅山の資本家の言うまま、渡良瀬川流域谷中村を鉱毒の遊水池にする国の計画が強行された! 日本最初の公害問題に激しく抵抗した田中正造の泥まみれの生きざまを描く。(常盤新平)

登録情報

  • 文庫: 215ページ
  • 出版社: 角川グループパブリッシング (1979/05)
  • ISBN-10: 404131013X
  • ISBN-13: 978-4041310137
  • 発売日: 1979/05
  • 商品の寸法: 14.6 x 10.4 x 1.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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16 人中、16人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
教科書で習った田中正造と足尾鉱毒事件は、ともすれば正造の「伝記」として語られがちだ。この小説では、谷中村民、鉱毒事件の被害者が真ん中にすえられている。正造死後の「第二部 騒動」、自らの意志で続ける村民の激しく、悲しい闘いが圧巻。文句なしにおすすめできる一冊です。
このレビューは参考になりましたか?
2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 仮面ライター VINE™ メンバー
形式:文庫
 
 城山三郎氏(1927~2007)は、言わずと知れた「経済小説」のパイオニアであるけれども、その一方、『落日燃ゆ』の広田弘毅や『官僚たちの夏』の佐橋滋などの人物像も描いてきた。その中にあって、異彩を放っている小説が、この『辛酸』ではなかろうか。この小説は「辛酸」及び「騒動」という二部構成となっているが、何と言っても本書の“妙味”は、田中正造(1841~1913)その人の行跡をなぞるのではなく、彼の“志”を受け継いだ名も無き人々にも目を注いでいる、というところにあろう。

 第一部の「辛酸」では、渡良瀬川周辺で発生した「足尾銅山鉱毒事件」における田中正造の晩年期が描写されている。それはまさに当該の谷中村ともども「辛酸入佳境」といった状態にあったのだが、それでも正造は「よしよし、正造がきっと敵討ちしてやるぞ」と、谷中村問題の解決に地位や財産や家族を擲って没頭した。そうした正造の姿を、城山氏は「そんな訳ですから、わしには一時に一事しかつとめられません。一意専心やらなければ、一人前に働けんでがす」と正造に語らせている。

 その正造の“志”を宗三郎という村の青年らが引き継いでゆくのが第二部の「騒動」だ。正造は「辛酸入佳境/楽亦在其中」という漢詩を好んで揮毫したそうだが、むろん後段の「楽亦在其中」という状況は生まれなかった。生まれようもなかった。また、宗三郎自身も「正造に似るといわれると妙な気分になる。すなおによろこべない…」といった葛藤も抱いていた。むしろ、「正造に似る似ないなどということは、宗三郎にとって何の意味もないこと」なのであった。この辺りの“彩”も、さすが城山氏だ。

 そして、城山氏は宗三郎に決意させるのだ…「だが、闘わねばならない。正造とともにはじまった谷中村民の辛酸は、生半可な妥協によっては、決して報われることはないのだ」と―。
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