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31 人中、29人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
純文学界が開高を語らないのは、実は語れないからではないのか?,
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レビュー対象商品: 輝ける闇 (新潮文庫) (文庫)
作者自身が従軍記者としてベトナムに行き、200人の小隊のなかで彼を含めて17人しか生き残れなかったという経験を軸に書かれた大作。日本の小説にはいわゆる「私小説」というスタイルがあるが、本作はそうした形で書かれた作品としてはもっとも強烈なものではないか。80年代にアメリカがベトナムを素材にした映画をいくつも作ったが、そうした映像よりも何よりも強烈な印象があります。開高氏のような戦中派というか幼少時代に戦争を経験した世代には「生と死」というものが非常に重い。作家はベトナムだけでなく、アイヒマン裁判、ビアフラなどなど世界中の戦争、生と死、それを起こした人を追いかけている。経験しなければ語れないというのであれば、彼の経験の昇華と言える本作は、いよいよ重いと言えるのである。名作である。。開高氏はこれと「夏の闇」以降は釣り、食、といった一見エピキュリアンな方向へと対象がシフトしていくように見える。上記のような極限状態を経験すれば、そうなっていくこともまた納得なのである。純文学作家としての開高というのがあまり語られないのはなぜだろう。語れる人がいないのではあるまいか?今の文学界に。そう思わずにはいられない。
23 人中、21人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
力強くて濃厚な一冊,
By taKa (東京都文京区) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 輝ける闇 (新潮文庫) (文庫)
言わずと知れた開高健の代表作だが、全体からベトナム熱帯雨林の湿気が漂ってくるかと思うほど、力強くて濃い文章。比喩や言い回しは開高健独特のものだが、それが恐ろしく 的確に現実を表現しているところが凄い。 ベトナム戦争を通じて、戦争の良し悪しといったことではなく、ずばり素っ裸の人間その ラストシーンではもはや主人公は人間ではなく、ほとんど本能のままに動く獣と化してし 実にこってりとしていて、読み応えは十分。薄っぺらな小説に飽きた人にも、濃い目の小
7 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
書き手の到達とは何かをひたすら思い知らされる,
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レビュー対象商品: 輝ける闇 (新潮文庫) (文庫)
釣り師・開高健を中学時代に知り、その文学へと進んだ。本書を読んだのは私が高校生の頃だったはずである。 寝る前の読書のはずが、紙面にのめりこみ一晩で完徹して読んだ。 本書には方寸の定まらぬ錯乱した少年をも捉えて離さない圧倒的な何かがある。 この<何か>という部分をどう定義してよいものか…。 私はいまだに定義できないままでいる。 とにかく開高健は本書によって書き手として極少数の者しか到達し得ない、 言語を絶するはずの、至高であると同時に、 世界に選ばれた書き手のみが許される、 耐えがたきまでに孤絶された場所へと到達したことは間違いない。 本書以降、手当たり次第に本を読み、さまざまな作家に触れてみたものだが、 それでも結局は開高健の希少さ、「輝ける闇」の特別性を確認しつづけるだけの 経験でしか無かったようにさえ思える。 私はときおり勃然と何事かを書こうと思い、実際そのようにするのだけれども、 そのつど絶望感にうたれて、自身の書いたものに酷く嫌悪感を感じるのは、 ほかならぬ開高健の「輝ける闇」と比較してしまうからである。 私は本書に生き方を問い、回答を与えられ、その示すように生きたいと願う。 痛感する生の先に死を捉えることなのだろうか? 死に触れつづけて生を知ることなのだろうか? あるいは生と死の混沌に在りて自身が堅牢であるということなのか? 原則とは、自らの命を張りこんで自らの言葉を得るということなのか? 開高健と「輝ける闇」。 この事実は私が死ぬまで背負う巨大な十字架の一つであり、 そして同時に憧れてやまぬ文学の極点だ。
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