1.東条がミッドウェー海戦の大損害をサイパン戦まで知らなかったなどと、全くふざけたストーリーをよくもぶち上げたものだ。この間はまるまる2年もあるのだ。その間にガダルカナルからの撤退、ニューギニアでの敗走、山本連合艦隊司令長官の戦死、ソロモン・サンゴ海戦での敗退がある。ミッドウェー海戦で制空権・制海権を失った為の作戦方針の変更を、大本営は2度も行っていることは歴史的にも証拠がある事実だ。
首相・陸軍大臣・参謀総長だった東條が知らないで、この2年間戦争をしていたと著者は本当に思って書いているのか。瀬島が海軍からの情報を一人で握り潰したからだとう馬鹿げたストーリーを作るための詐欺的内容だ。
2.瀬島の満州出張はスパイとしてだと書けば、人は読んでくれると思っているのか。作戦課の下僚参謀として瀬島は何度も満州にも中国にも、南方にも出張した。著者は、例の生物兵器について瀬島を絡ませようとの魂胆か。
3.シベリアへの捕虜の決定はスターリンがとっくに決めて実行したことは、ロシア側の資料で明確になっているのに、斉藤六郎や保阪正康の論を出して疑念を持たそうとしている。
4.大東亜開戦直前ルーズベルト親書の遅配についても、そのように思わせる記事で状況を作り上げ、瀬島が大きく関わったと作り上げる。瀬島はそんなことを出来る立場では全くあり得ないのは明白であり、本人も「幾山河」の中ではっきりと反証している。
5.靖国神社には参拝していない。これに至っては余りにも馬鹿げた大嘘であり、現に瀬島と共に参拝を毎年していた団体があり、活字で発表されてもいる。靖国神社に問い合わせてもすぐ分かるだろう。
6.シベリアから新しい日本国軍を作ろうと思って帰国した。反対したのは吉田だったという記述には呆れ果てる。瀬島が帰国した1956年には、もう自衛隊が出来ていた。
このなことを著者は自分を売り出したいためだけに書いたのだろうか。本は後世に残るものであり、間違った内容が常識として一人歩きする危険性は大きい。明白な歴史的事実に反している内容を、歴史的証言として発刊した出版社の良識を疑わざるを得ない。