この本は、ほとんどの日本人がずっと疑問に感じてきたことに著者なりの答えを出そうとした本である。その疑問とは、明治時代、国の総力を挙げて日清、日露の両戦争を戦い、国力に差がある中でかろうじて勝利を収めた(どう見ても賢明な)日本と、誰が見ても勝ち目がない戦争に無謀に突入し、多くの国民を殺して惨めに負けた昭和の日本、この両者に一体どんな違いがあったのか、たった30年かそこらの間に何がこんなに変わってしまったのか、というもの。戦後数十年が経ったが、個々の戦闘の上手下手についての分析は多いにもかかわらず、肝心のトータルとしての失敗分析は不思議なほど行われてきていない。ようやく最近になって幾つか現れている。その一つがこれである。戦後生まれの著者の素朴な疑問には、素直に共感を覚える。日本の進路が大変不透明な今日、歴史の教訓をどう学んでいくかは非常に重要であると思う。誰でも大変読みやすい本である。一人でも多くの日本人に読んでもらい、考えてもらいたい一冊。