舞台は長野。前回も、男が女に、女が男へというキャラスイッチ演技がポイントだったが、それは今回も生きています。ただ、ふたりには、それぞれ思いをよせる相手もいる設定です。
一夫が尾道から転校してくるというのも、過去の大林作品のヒロインである石田ひかり、高橋かおり、勝野雅奈恵が花を沿え、大林組の常連の入江若葉も出演も嬉しい。
ラストには現在の尾道のシーンも登場します。
また、大林作品全体に漂う透明感や、細かな表現や台詞回し、意識的に風情のあるロケーション、古きよき街並みが背景にあるのは変わらない。美しい長野の風景、美しい信州のそびえ立つ山の見事なこと。
ヒロインの蓮佛美沙子は、結構、がんばって演じていますね。ピアノ少年である一夫の気持ちでピアノの弾き語りをするシーンには、ハイライトでしたね。それにしても、大林作品の歌のシーンにはあざといなと思いつつも、いつも感動させられます。(苦笑)
オープニングにクレジットされた「未来の子供たちへ」の文字や、せつないラストシーンは、オリジナル公開から25年の月日が流れ、その間、監督にも世界にも様々な事があったことを感じさせます。携帯電話で生徒たちが当たり前のようにメールのやり取りを行い、移動教室の温泉には水着着用など時代の変化を感じます。
前作は、微笑ましくも胸キュンのファンタジーで、青春の入り口での決別がテーマだったが、本作は、もっと複雑に進化した感じ。ファンタジーには違いないのだけれど、大きなテーマは生と死。良くも悪くも70歳近い大林監督が若い世代へ問いかけるような、啓蒙的な哲学的な色が濃くなっています。
あと、ちょっと傾けたアングルや動き回る独特なカメラワークは、さほど必然性が感じられなかったけれど、後半、二人が途中出会う旅芸人とのちょっとした触れ合いを挿入したのは良かった。