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転校生とブラックジャック――独在性をめぐるセミナー (岩波現代文庫)
 
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転校生とブラックジャック――独在性をめぐるセミナー (岩波現代文庫) [文庫]

永井 均
5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

もし火星に自分と全く同じ身体と記憶を持つ人間が作られたら、それは「私」と言えるのか? 脳と身体が入れ替わった「転校生」は、ブラックジャックのような天才的な外科医の手術によって、もとの「私」に戻ることができるのか? SF的思考実験をもとに、先生Nと十二人の学生のセミナー形式で綴られる、第一級の哲学的議論。(解説=入不二基義)

内容(「BOOK」データベースより)

脳と身体が入れ替わってしまった「転校生」の一人である“私”は、ブラック・ジャックのような天才的な外科医の手術によって、もとの“私”に戻ることができるのか?もし火星に“私”と全く同じ身体と記憶を持つ人間が作られたら、それは“私”であると言えるのか?SF的思考実験をもとに、先生と十二人の学生のセミナー形式で綴られる、独在論をめぐる第一級の哲学的議論。

登録情報

  • 文庫: 256ページ
  • 出版社: 岩波書店 (2010/5/15)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4006002386
  • ISBN-13: 978-4006002381
  • 発売日: 2010/5/15
  • 商品の寸法: 15 x 10.8 x 1.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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49 人中、39人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
 単なる独我論では決してない、かと言っていわゆる独在「論」でもない(と敢えて言ってしまいましょう)、「独在性についての永井均による語り示し」の最新バージョン。「哲学する」ことに興味のあるすべての人が見習うべき「本物の哲学的議論」の良い見本が、ここにあります。またその意味では、著者の「論」を信奉してしまっている人はさておき、むしろそれに批判的な人にこそ今一度精読をオススメしたい一冊です。著者の試みは徹底して「問題の所在」をあぶり出そうとすることに、かつ、そのことにしか無いことがハッキリ分かるでしょう。

 一旦その思考の帰結を何かに「応用」しようとすると、直ちに眉唾モノになってしまう――そんな、強靱でありながらもデリケートで、そしてだからこそ誤解(無解!!?)され易い著者の「語り(示し)方」を、「哲学する」ことの純粋な醍醐味を、是非一度、虚心坦懐に味わってみてはいかがでしょうか?

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1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
本書は、「私が私であること」はどういうことか=独在性について、対話形式で書かれた哲学書だ。先生と、12人の学生が、提示された思考実験から、議論を重ねて、哲学していく体裁になっている。

ひとつは、
大林宣彦監督の映画『転校生』と同じシチュエーションで、意識が入れ替わった太郎と次郎(なぜか男同志)。外科医のブラック・ジャックが脳の記憶を交換する手術をするという。はたして、太郎(次郎)は、本当に太郎(次郎)なのか。

もうひとつは、
私をスキャナでコピーし、火星への輸送をおこなうことができる遠隔輸送機がある。コピーした後に、そのまま残ってしまった私と、火星にいった私は、どちらが私なのか。

もちろん答えがあるわけではない。哲学的議論を交わし、深化させていく過程を読み取っていくべきものだろう。

ただし、ここでおこなわれる哲学的議論は、なかなか高度だ。僕の拙い知識レベルと、思考回路では、精読していかなければ、内容についていけないなかった。本書で頻出する(哲学的素人には)聞きなれない用語についても、調べながら読み進めなければならない。それでも、概ね理解という程度なのだ。読了したときの満足感は高いのだが、今後、自己研鑽するなかで、折々に、再読してみると新しい発見があるのだと思う。
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13 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By Tod
形式:文庫|Amazonが確認した購入
 哲学者永井均による、一風変わった哲学書の文庫化である。
 章がいくつかに分かれているが、メインはやはり第二章と第四章になるだろう。デカルトの「われ思う、ゆえにわれあり」をめぐり、十三人もの登場人物のあいだで、これでもかというぐらい多彩で深遠な議論が展開される。先生と呼ばれている永井本人とおぼしき人物Nと、AからLまでの十二人の「使徒」は、しかし決して思いつきの身勝手な発言をしているのではなく、それぞれがそれぞれの哲学的立場と一貫性をもって語っており、著者の緻密な計算には舌を巻くほかない。
 議論の中で認識論的立場と存在論的立場と意味論的立場が枝分かれしてゆき、その相互依存的関係が明らかにされてゆく。デカルトの認識論的独我論が「私は他者の心を知覚することができない」という、いわば五感的知覚の限界に基づいているのに対し、永井均の存在論的独我論は、五感的知覚とは別の「現に」「いま」「ここに」といういわば「原点」の感覚(?)に基づいている。一方そのような「現に」「いま」「ここに」という指標語を独立自存視するのは、言語に引きずられた錯覚に過ぎないとする見方もあり、「私」を認識でも存在でもなく言語の側面から分析しようとする意味論的独我論(批判)は大庭健がその代表格にあたると言えよう。また永井哲学が独我論に関しては存在論的であるのに対し、道徳論に関しては認識論的である(「客観的な善悪なんてない」)ように思われるのも興味深い。
 最終章「解釈学・系譜学・考古学」は短いが印象を残す内容であり、哲学者入不二基義も『哲学の誤読』の中で取り上げている。過去を過去のまま遺棄することが過去の救済であるとする永井の説は常識的には理解困難だが、死者を忘れることが最大の供養であるとする仏教的な言説と重なる点でも哲学的な深さを感じる。
 本書をこよなく愛し、朝日カルチャーセンターで本書をテキストにした講座まで開いている入不二による解説は、本文庫最大の特典と言えよう。レベルの高い解説だが読後に読めば本書の全体像が見やすくなること請け合いである。親交の深い両哲学者の対話が読めるだけでもお買い得な永久保存版の哲学文庫である。
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