今年(2008年)で結成30年のキャリアを誇るロックバンド、ヒカシューの2005年NYでの録音盤。1979年のメジャー・デビュー(アルバム『ヒカシュー』東芝EMI)以前から“即興とソングの混在”にこだわり続けてきたボーカリスト巻上公一とバンドメンバーによる、進化し続ける作曲と歌の形態がCDアルバムというパッケージ作品に結実した傑作。あくまでも“うたうたい”のいるロックバンドの形式にこだわりながらも、転がり続ける物体のように予測不可能な曲の展開や紡ぎ出される言葉たちが非常に濃密なグルーブを生み出しヒカシューの生ライブを見た後と同じような興奮が体験できる。即興演奏もするロック・プレイヤーとしての長いキャリアを持つそれぞれのメンバーたちの非常に強い意気込みと自負が演奏からもあふれ出してきて感動を覚える。今回の録音でもspecial thanksに名前の出ている巻上の盟友、ジョン・ゾーンのレーベルTZADIKからリリースされている『HIKASYU HISTORY』(初期からの未テイク集)と一緒に聴くと、ヒカシューが30年前から一徹した意思を持った硬派なロック・バンドだと分かる(だが、しかし。キュートな一徹親父ともいうべきユニークな父性性は健在)。