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通常戦記物というと、どうしても部隊の動きや戦闘の細かい点が強調され、
一見しただけではとっつきにくい感を受けるものが少なくない。
しかし、この本ではタイトルに「軍艦の生涯」とありながらも、
歴代の艦長に関するエピソードや末端での指揮官、水兵の苦労といった
「人」に光があてられており、
海戦の記述も「人」に重点がおかれたものとなっている。
「軍艦」も「物体」である以上、そこには人間が必ず存在し、
人々によって数々の物語が繰り広げられる。
他に例えて言うならば、「会社」「駅」であろうか。
この本はその「人の営み」に焦点を当てたいという
作者の意思がこめられているように感じる。
詳細に入りすぎることなく、しかし登場する人物の事がイメージとして
確かに湧き上がるよう記載された歴代艦長の描写などには、
丹念な取材と緻密な構成、そして著者自身も属していた
かつての帝国海軍への深い愛情を感じる。
筆致自体は端々としているが、冷静な傍観者としてではなく、
あえて愛情を込めて書かれた、と感じることが出来るからこそ、
私は読み通すことが出来たと思っている。
時代の要請によりテクノロジーの結晶として生まれ、
最後はビキニ環礁で核実験の標的となり沈むという
数奇な運命を持つ「長門」。その「長門」とその時代において、
富国強兵を考えていた先人、開発に苦労した先人、
日々真面目に勤務していた先人、戦闘に必死だった先人、
そういう我々の祖先を綴る物語である。
私が手に取ったのは約10年前、中学3年の時だったが、
何度読み返しても良い作品だと思う。
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