多くの日本人は、特攻隊を、死を強いられた犠牲者としてしか考えていないのではなかろうか。それを貴い犠牲と考え、襟を正すか、悲惨な犠牲と考え反軍感情を持つか、といった違いはあるにしても。しかし、兵頭氏は、そういう情緒的な評価の見直しをせまる。特攻作戦は合理的効率的作戦であったと、氏は言う。なぜか。特攻作戦による帝国陸海軍の死者約3800人、米軍の死者約5000人。米軍の死者が日本軍の死者を大きく上回った作戦なのである。もちろん、兵頭氏はいたずらに特攻隊を礼賛するわけではない。当時の日本の状況や客観的なデータに基づく冷静な評価をするのみである。その他、この本には、軍事、戦争に関する感情に流されない分析による新見に満ちている。