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軋む社会---教育・仕事・若者の現在 (河出文庫)
 
 

軋む社会---教育・仕事・若者の現在 (河出文庫) [文庫]

本田 由紀
5つ星のうち 4.1  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

希望を持てないこの社会の重荷を、未来を支える若者が背負う必要などあるのか。この危機と失意を前にし、社会を進展させていく具体策とは何か。増補として「シューカツ」を問う論考を追加。

内容(「BOOK」データベースより)

夢を持てない。将来の展望が見出せない。社会の軋みを作り出したのは一体誰なのか。その負荷を、未来を支える若者が背負う必要などあるのか。非正規雇用、内定切り、やりがいの搾取で拡大する「働きすぎ」…今、この危機と失意を前にして、働くことの意味はどこにあるのか。文庫版増補として、「シューカツ」を問う論考を追加した、若者の苦しみを解き放つ糸口を探る一冊。

登録情報

  • 文庫: 285ページ
  • 出版社: 河出書房新社 (2011/6/4)
  • ISBN-10: 4309410901
  • ISBN-13: 978-4309410906
  • 発売日: 2011/6/4
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.1  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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58 人中、52人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
崩音!? 2008/6/12
By misora VINE™ メンバー
形式:単行本
本書は、本田さんが、ここ数年間に発表された小論やコラム、対談を集めたもの。
専門的な単著もたくさん出されているが、それらに比べると本書は、かなり読みやすくなっており、”本田由紀入門”に最適だろう。

本田さんは、混沌としつつも、不安に満ちた「教育・仕事・若者の現在(副題)」から、「ハイパー・メトクラシー(超能力主義)」化への警鐘、「柔軟な専門性」の提唱、「<やりがい>の搾取」など、学者らしい切れ味のある抽象概念として問題を浮き上がらせてくれる。
それらは、決して理解が難しいものはなく、ごく日常的に、わたしたちが、やりにくいな、おかしいな、もっとこうあればいいのにな、と感じているものと同じだということに気がつく。

調査研究の成果を元に展開される論理の一方で、書かれた言葉の細部には、現状へのもどかしさ、それでも立ち向かう強い意志、正義感など、学者的というよりも、むしろ、人としての熱い願いに満ちあふれている。どうよ、どうよ、これでもか、と、学者としては、めったにないほど、想いをストレートに斬りつけてくる。

社会の軋(きし)みは、少しづつ、マシになりつつあるんだろうか。非正規雇用労働者の労働組合への参加が呼びかけられ、書店のベストセラー・コーナーには、かっこいい装丁をまとった『蟹工船』が並べられている。追い風はあるのかもしれない。

だが、現状の構造を変化させるには、ちっとも足りない。若者や労働者が、不安のない暮らしができるように、できれば、個人の適性や、生活スタイルにあうように。社会はやはり、すべての人にとって、より過ごしよい方向に、変わるべきだ。

「それを、あなたも、どうか手伝ってくれませんか」と、本書は締めくくられる。

”想い”は、困難を乗り越え、形にしなければならない。軋(きし)みは、より明確に鳴り響く。
それは、本書に共感を持つ者の課題となって。瓦解させてはならないものと、瓦解させるべきものを見極めつつ。
このレビューは参考になりましたか?
30 人中、27人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
 若年者雇用における新進気鋭の社会学者の著書。

 著者の著作「ニートって言うな」を読んで、社会施策などの要因を論じないニート論者とニート・自己責任論を正面から批判するとともに、論拠も明確に示す内容に溜飲を下げた記憶がある。

 本書ではニート論周辺ではなく、本論である若者の置かれている現状を社会的要因から分析して詳細に論じている。本著ではより社会学者としての本領が発揮されており、こちらのほうが、より基本的著書といえる。深刻さを増した若者の現状とその社会的要因の分析は社会施策や、雇用側、特に大企業批判へと展開されている。
 また、働かされる側の心理にまで踏み込んだ論考など、単純な雇用側批判にとどまらない検討内容を含んでいる。 
 学者の論文は単調になりがちであるが、対談録もちりばめられており、読みやすい。

 以下より主観的な感想。
 著者の主張は厳しい社会批判(怒りも)を含んでおり、内容以前に、その部分で賛否が分かれてしまう恐れがあるのが、気がかりである。
 内容を読めば、統計や図表を駆使して、客観的かつ解り易いように論拠を示しており、各所に感じられる著者の怒りとは反対に冷静な理論展開がされている。
 社会格差全体の問題も、「格差」から「貧困」に移ってきており、もはや、「働いても食えない若者」を「自己責任論」や「ニート論」で説明できない現状が明確になっている。 自己責任論やニート論により、対策を講じる世論形成や社会施策が遅れた(遅らせられた?)ことが非常に悔やまれる。
 
 
このレビューは参考になりましたか?
13 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By ぽるじはど トップ500レビュアー VINE™ メンバー
形式:単行本
 教育については 

 ☆日本はGDPに占める公的支出の比率が、OECD諸国内では最下位から2番目。

 ☆高校教育は、他の経済的に発展している国は普通教育比率が低く、職業教育の比率が大きく、日本でも職業学科卒業の生徒は職業への準備や対人能力形成機能もあり、普通科卒業の生徒と比べてフリーターになる率は低く、正社員になる率が高いとの統計があるにもかかわらず、普通教育重視の発展途上国型のまま。

 働きすぎについては

 ☆自発的に「自己実現」に邁進するよう巧妙に働かせる側に誘われる「やりがいの搾取」のからくり
を探り出している。

 鼎談での精神的な“溜め”がなく、働く気があっても続けることができない、“意欲の貧困”を自己責任で片付けるのではなく、どう意欲を持たせるかとの問いかけは、新しい視点だし、現在の軋みをもたらしたのは、新自由主義だけでなく、根性論や自己責任化により、政府や財界に世論がエクスキューズを与え、若年雇用の問題を本質的に対応させてこなかったからでもあり、そのような言説は、安倍政権時には“良心に従わない者”というように次々とバッシング対象層を変えて続いている。
 そのような構造を可視化し、抑制することが重要、との指摘には大いに賛同する。

 後半の鼎談では、現在が戦前に似ているとの観点から昭和初期頃のプロレタリア文学(『蟹工船』が有名だが、それ以外の作品)と、現在のそれに類似する作品を検証している。
 現代の作品は、プロレタリア文学と比べると社会が加味されず、個に収斂されていく傾向があるようで、くるみ沢健氏の言うようなニートやフリーターの言葉を受け入れるのはダメで、ハッキリ「奴隷」「困民」を発見させる、とのどぎつさはなく、物足りない気がした。

 全体的に硬めの文章で、論文風なのもあって読み難い部分もあるが、教師や親たちの生きてきた旧い経験に基づいて「与えられたものを疑問を持たずに受け入れろ、世の中はもともと理不尽なものなのだからそれに従え。」との価値観に振り回され、上手く立ち回れない自分が悪いのだと責める事無く、しなやかでじっくりとした発想に基づいて、新しい社会や自分をつくり出す為の具体的で影響力のある行動を表し、世界を少しでもマシな方向に変えていこうとする、静かで確かなあなたたちの力を貸してくださいとのメッセージが込められた、末尾の「いま、若い人たちへ」だけでも、是非読んで欲しい内容だった。
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