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車輪の下 (新潮文庫)
 
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車輪の下 (新潮文庫) (文庫)

ヘッセ (著), 高橋 健二 (翻訳)
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5つ星のうち 4.0 車輪というくびきの下で, 2001/11/24
町の牧師や校長、父親。大人達の寄せる一方的な期待に苦しみながら、それに懸命に応えようと勉学にいそしむ少年、ハンス・ギィベンラァト。大好きな魚釣りも、水浴も、ウサギ小屋も、友人との遊びも禁じられ、孤独のうちで、知的な充実感と野心の満足だけを支えにひたすらラテン語とギリシア語と数学と宗教の勉強に励む毎日。ついに州試験に合格し、町中の賛美と羨望を一身に浴びて神学校に入学したハンス。そこでの一人の友人との出会い。

幼少期の大切な時期を、文字通り大人達のエゴという「車輪の下」に踏みにじられ、それのもたらす深刻な影響から、なやみ、苦しむハンス。精神の平衡を乱した彼は・・・。ドイツの美しい自然描写を背景に、主人公の繊細なたましいが傷つけられていく様が、淡々と描かれている。

著者自身の、少年時代から青年期にかけての実際の経験を題材にしているだけに、ハンスの考えや行動、変化がとても自然に描かれていて、その帰結的な哀しみは何ともやりきれない。知とか教養みたいなものを、ある意味で絶対的なもの、賛美すべきものと考えがちな最近の自分に強烈な警鐘を鳴らしてくれた。知識や教養、それ自体には価値はない。それを特定の文脈の中に位置付けて、いかに活かすかが重要なのであって、それが立身出世の手段としての色合いを強くしたとき、それは悲しい結果を人々に、特にいたいけな少年の魂にもたらす。

ハンスの不幸に手を貸したことに、全く無自覚な牧師や校長や父親。
そして、彼らと読者である自分がなんら変わらないと感じた時、ずいぶんショックだった。

「人間の価値を決定するもの」そんな曖昧な定規を必死で探し出そうとしながら、結局自分は、浅薄で悪徳な大人への道をまっしぐらに歩いているような気がしてならない気がする。そして、そんなことを考えさせてくれたこの小説は、とてもありがたいと思った。

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14 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0 翻訳が古すぎる。, 2009/1/19
By gz - レビューをすべて見る
(TOP 500 REVIEWER)   
30年以上前、中学生の時に高橋健二訳で読んだのだが、
その時は自分が手に入ったものがこれだったので何の疑いもなかったが、
最近読み直してみて、訳が古すぎると思った。
「おとっつぁん、ナイフを貸しておくれ」
これは、ないだろう。
ストーリーとあまり関係のない場所で、下手な訳を紹介しておくと、
”釣り手にはいよいよ魚釣りの興奮と熱情的な精神集中が目ざめた”
第2章の最初の方、試験に合格したハンスが、魚釣りに熱中する場面だが、
この訳は、あまりにひどい。直訳的というか、素人のような訳だ。

昭和26年の訳だから、仕方がないと言えば、それまでだが、
これから初めてこの本を読もうという読者には、別の訳をおすすめします。
私は、全ての訳を読んだわけではないので、どれが良いとは言いませんが、
この訳者は、おすすめしません。
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13 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 子供に接する大人が読むべき本, 2006/6/17
ヘッセの『車輪の下』を読んだ。中学生が読むべき本と思っていた。しかし、中学生の時の僕は星新一と森村誠一しか読んでいなかったので、今回はじめて読んだことになる。
良い作品である。
ぜひ読んでいただきたいのでストーリーはここで語らないが、子供を持つ親(子供に接する大人)が読むべき本であると思う。
中学生時代に読んだとしても、成人してから読み返すことにより、汲み取るべきものがさらに多いはずである。
「車輪の下」とは、社会のしきたりや規則、常識的なコースである「レール」や「わだち」からはずれまいとして、必死でしがみついたために、車輪に踏み潰される悲劇を意味しているのだろう。
 時には脱線したり、うまく列車や馬車を交わす余裕が子供にあれば、精神を消耗させ悲劇的な結末を迎えることなく、無限の才能を開花させる機会はいくらでもある。
また、周囲の大人(親や教師など)は子供に対し、ひとときもレールを踏み外すことの無いよう監視する愚を犯すことなく、むしろ、子供の苦しい立場を理解し、受け入れることが必要とされているのではないか。
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