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車掌さんの恋 (講談社文庫)
 
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車掌さんの恋 (講談社文庫) [文庫]

有吉 玉青
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

大人に憧れる少年、自由に生きたい女子高生、過去にしばられる男。
それぞれの思いを乗せて電車は行く。そこにレールのあるかぎり。
電車がはこぶ、どこか懐かしい5つの物語。
突然、乗務員室にあらわれた謎の少女。車掌さんは困惑しながらも、その少女に“心のざわめき”を覚える。過去と現在をつなぐ表題作『車掌さんの恋』ほか4篇を収録。

--このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。

内容(「BOOK」データベースより)

いつの間にか乗務員室に入り込んできた女子高生に惹かれる車掌さん、思わず破いた中吊り広告でほほ笑むアイドルが取り持つ少年たちの友情、ボックス・シートでは居心地が悪い秘めた恋の二人、両親の不仲に心を痛めた優等生は改札で呼び止められて…みんながいつも乗っている電車に詰まった5篇の物語。

登録情報

  • 文庫: 272ページ
  • 出版社: 講談社 (2008/4/15)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4062760177
  • ISBN-13: 978-4062760171
  • 発売日: 2008/4/15
  • 商品の寸法: 15 x 10.8 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (1 カスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 630,903位 (本のベストセラーを見る)
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13 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
 淡いピンクの表紙が、はんなりと優しい装丁。5篇からなる短編集です。
 どこかとぼけたような印象のタイトルが示すように、電車にまつわる話が、それぞれ趣を違えながらいい味わいを出しています。
 主人公たちは各編で異なっていて、同じ時、同じ車両内の人々について描いたのではないのですが、全体を通してみると、まるで同車両に乗り合わせたかのように、各主人公の想いや日常のひとこま、人生模様がうまく収まっていると感じられます。

 表題作の「車掌さんの恋」は、忘れがたい過去の恋人への想いと毎日の生真面目な勤務の様子が綴られていくなかに、突如出現するイレギュラーな小事件が、小気味いいアクセントになっています。寸分の狂いもなく行われる車掌さんの業務動作と、過去の恋を逡巡する気持ちが、アンバランスな対比で面白い効果をあげていると思いました。
 中学1年生の太一が、青春時代に突入していく諸々を描いた「中吊り泥棒」は、特徴的な登場人物が脇をかためて、わくわくする展開でしたし、「きせる姫」は、湊(みなと)と尚子、2人の女子高生の友情が現代っ子らしく描かれ、この年代特有の心の揺れが、ある意味爽やかさを誘う話でした。
 
「あみだなの上」が、何と言っても掉尾を飾るにふさわしい好篇でした。
 人生を線路に喩えて語ることはよくあることかもしれませんが、その終焉の時を、走る電車と重ね合わせて、走馬燈のように過去に想いを巡らせる主人公がなんともいい。
 苦く切なく、未だ呑み下せないわだかまり。人間は綺麗事で生きられるほど単純なものではなく、たった一人のたった一度の人生に、点々と染みを遺しながら、死の時までを生きるものだと感じたのでした。
 しかしながら、生きてきた道筋はこんなにも愛おしく、過ぎてしまえば夢のように脳裏に立ちのぼってくる様が、しみじみとした味わいの物語でした。
 5篇それぞれの妙味を満喫して、“ちょっとそこまで”の旅をさせてもらった本でした。

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