本書は「車いすの弁護士」と呼ばれる著者が、小さいころから両足が動かないままの人生を、どのように生きてきたのか、その時々のエピソードを綴ったものである。本人、そして親御さん達の苦労が、センチメンタルではなく、ドライで客観的な筆致で書かれている。これは、著者が弁護士という職業柄なのかもしれないが、このドライな書き方が逆に著者が置かれてきた状況の厳しさを訴え、いかに社会が車イスの生活をしている人たちへの配慮が少ないかが理解できる。また、ドライな筆致が最後には熱を帯びる。最後になって、これまでの著者のフラストレーションが爆発したかのようである。「私の約50年の人生は、いつも小便をがまんしながらの人生でした。あなたが小便をがまんしなくてもよいのは、あなたの足が動くからではありません。街の中のいたるところに、あなたの使えるトイレがあるからです。車イスの私が小便をがまんしなければならないのは、私の足が動かないからではありません。街のなかに、車イスで使えるトイレがほとんどないからです。街のなかに、あなたも、車イスの私も、みんなが使えるトイレがあれば、私の人生は変わるのです。」
ユニヴァーサル・デザインに関心のある人は必読の本だと思う。そうでない人も、社会の見方が変わる極めて優れた良書であると思う。