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37 人中、36人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
愛情が救った命,
By Nao (東京) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 躁うつ病を生きる―わたしはこの残酷で魅惑的な病気を愛せるか? (単行本)
躁うつ病の第一線の研究者であると同時に躁うつ病を生きる人であるケイ・ジャミソンの自伝である。両親に愛され自由に生きた少女時代から、苦しみの始まった思春期、そして、大きな喜びと苦難の中で情熱的に生き、精神科クリニックでの患者の治療、後進の指導、躁うつ病の研究に全力を尽くしている科学者としての現在にいたる日々が、生き生きとつづられている。彼女の詩的な感受性、ありのままを見つめる勇気、賢さに心を打たれる。だがそれ以上に私の心を打ったのは、彼女を含めたここに登場する人々の愛情の深さだった。 彼女に「死を願ったことはあっても、生まれたことを悔やんだことはない」と言い切らせたものは、両親、兄、同僚、そして恋人や夫たちから与えられたこの上なく深い愛情だったのではないか。子供のときに愛された記憶、またその時々に彼女を励ましてくれる存在があってはじめて、彼女は、何度も訪れる困難を乗り越えることが出来たのではないか。命を救う唯一のものと強調される適切な治療薬の服用も、周囲の人々の愛情を素直に受け取る彼女の豊かな心がなければ、続けられなかったかもしれない。 この本は、困難と戦いながら生きている患者だけでなく、それを支える近親者にも勇気を与えてくれると思う。注ぐ愛情は決して無駄にはならないだろうと力づけてくれると思う。
56 人中、53人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
この痛ましくも魅惑的な疾患,
By
レビュー対象商品: 躁うつ病を生きる―わたしはこの残酷で魅惑的な病気を愛せるか? (単行本)
この本は、重篤な躁鬱病を克服してジョンズホプキンス大学の教授となったケイジャミスンの自伝である。致死率の高い躁鬱病の怖さと軽躁状態の魅力をとても率直に伝えている。文学作品としても第1級で、色彩感覚にあふれるそれぞれのエピソードが目に浮かぶ:ほほえましいシーンが満載の利発な子供時代、臨床心理学を専攻しているにもかかわらず自分の病気を認識できなかった愚かさ、崩壊していく家族とやさしい兄の庇護、スコットランドの美しい彩りにいやされる欝の心、薬を拒否する非合理性、薬による心の平安と仕事の大成功、それを肯定しながらもかつての躁をなつかしむ心と体。。。。彼女を理解し支え成功に導いた美しい人達、躁鬱の彼女に惹かれる男性達との出会いと別れ。。。この本は、躁鬱病を主題としているが、気性が激しい、そしておそらくとても魅力的で凛とした著者の姿をも余すところなく描き出している。この本を読んでいると、著者がそばで静かに語っている、著者と二人だけで語り合っているような気になる。全編が躁鬱病との壮絶な闘いに費やされているのに、このあふれでる心地よさは何であろうか?いうまでもなく、躁鬱病は性格や精神の問題でなく、化学と分子生物学の問題であり、精神に影響する内科的疾患である。躁鬱病で死ぬ人達は、自らの決断で死ぬわけでなく、脳内の化学反応に文字通り殺されたのである。躁鬱病は、人間の精神について何事かを、それがいかに微妙なバランスの上に成立してるかを、語っているのではないだろうか?この痛ましくも魅惑的な疾患に、科学による解明がもたらされんことを。
14 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
残酷で魅惑的な病気の記録に胸打つ,
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レビュー対象商品: 躁うつ病を生きる―わたしはこの残酷で魅惑的な病気を愛せるか? (単行本)
患者が周囲の人々に病気を告知する際の悩み、他者からの無慈悲な言葉の痛み、愛情が持つ癒しの力など、患者視点ならではの記述を通して、躁うつ病を宿した人間の姿が描かれます。本書のおかげで、私が持っていた「躁うつ病は躁とうつが繰り返される病気」という無機質な理解に血を通わせることができたように思います。中でも感銘を受けたのは、躁状態についての記述でした。素晴らしく頭はめぐり、情熱、活力、全能感に満たされた奇跡のひととき、これが患者にとっての躁状態でありましょう。老人が若人に憧れるように、病状が安定した後も残る躁への未練。たとえ躁が、暴走と狂気を経て漆黒のうつへ繋がる苦しみと背中合わせだとわかっていたとしても消せぬ、強烈な誘惑。 なんと「残酷で魅惑的な病気」でありましょうか。患者はなぜ薬を拒むのか、なぜ治療を放棄するのか、理解する上で大きな示唆となりました。 健康な方や治療者にとっては患者の理解を深め、患者にとっては病気といかに付き合い生きるかを示唆してくれる良書だと思います。
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