長谷川初実(ハツ)は、陸上部に所属する高校1年生。気の合う者同士でグループを作りお互いに馴染もうとするクラスメートたちに、初実は溶け込むことができないでいた。そんな彼女が、同じくクラスの余り者である、にな川と出会う。彼は、自分が読んでいるファッション雑誌のモデルに、初実が会ったことがあるという話に強い関心を寄せる。にな川の自宅で、初実は中学校時代に奇妙な出会いをした女性がオリチャンという人気モデルであることを知る。にな川はオリチャンにまつわる情報を収集する熱狂的なオリチャンファンであった。
物語の冒頭部分を読んだだけで、読者は期待を裏切らない作品であることを予感するだろう。特に最初の7行がすばらしい。ぜひ声に出して読んでいただきたい。この作家に生来的に備わったシーン接続の巧みさや、魅力的な登場人物の設定に注目させられる作品でもある。高校1年生の女の子の、連帯とも友情とも好意ともつかない感情を、気になる男子の「もの哀しく丸まった、無防備な背中を蹴りたい」思いへと集約させていく感情と行動の描写も見事だ。現在19歳の作者でなければ書くことができない独自の世界が表現されている。 (榎本正樹) --このテキストは、 単行本 版に関連付けられています。
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204 人中、165人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 2.0
個人的には悪いと思わないですが・・。,
レビュー対象商品: 蹴りたい背中 (単行本)
「インストール」に続く著者の第二作。少し力を抜いて書きます・・。 『僕の個人的な思い』 ディテールに光る著者の鋭敏な感受性は とても好感がもてる。これは前作でも同じ印象。 残酷さと切なさがあいまった思いはすごくわかる。 『客観的な印象』 テーマ全体を網羅するモチーフを準備できていない。 だからテーマが「そのまま」書かれてしまう。 個人的には好感がもてる要素も裏を返せば、 メンタリティでない事を切に願います・・。
288 人中、230人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 1.0
おじさんにはついていけないのかも,
By anon-g (東京都杉並区) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 蹴りたい背中 (単行本)
ニュースで見て、ミーハー根性丸出しで買ってみました。しかし、最初の1ページで買ったことをかなり後悔しました。落ちていた本を拾って読んだら、知っている人の日記でした、というような気まずさを感じさせる本です。アノ人の日記と知っていれば読まなかったのに...等身大の高校生の女の子が描きたかったのかもしれませんが、そんなものは実社会にいくらでも転がっています。まったく咀嚼せずに、こんなにも冗長な文章で表現するのは、無意味だと思います。もっとエッセンスだけを抽出してあるなら、まだ読めたのかも知れません。言葉の選択のセンスや、文章の運び方も、私のようなおじさんには合わないようですので、手に取ったのがそもそもの間違いなのかも知れません。 最後に、芥川賞の選者達に言いたい。日本の文学は殆どが私小説ですが、逆に、私小説なら文学なんでしょうか。そこに、人間に対する鋭い観察、深い洞察などがなければ、文学作品の名に値しないと思うのは、狭量でしょうか。 私が蹴りたいのは、選者の背中です。
57 人中、46人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 1.0
踏み絵は最初の七行,
By カスタマー
レビュー対象商品: 蹴りたい背中 (単行本)
最初の「ハッ。っていうこのスタンス」の部分をどう感じるかでしょう。ここで「わあ、斬新。さすがは芥川賞」と思うか、「うわあ、かーいーなあ。やっぱかわいいよなあ」と思うか、「なんじゃ、こりゃあ! この陳腐で幼稚なのは」と思うか。ここでもう決まるといっても過言ではない。私は三番目なので最後まで苦笑しかできませんでした。いじめられていた人は共感できるという意見もあります。私も主人公と似た境遇で高校時代は図書館に籠もっていましたが、追体験するほどのことでもないですね。あ、清水義範氏には是非パスティーシュしていただきたいなあ。
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