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ウルトラセブンに夢中になった思い出をくすぐってくれ、いっそ清々しいまでのアホなスケールの話の展開に引き込まれた「地球最大の決戦 終末怪獣エビラビラ登場」。
一時期、山田正紀の小説にハマったあの興奮が、あのワクワクさせられた読書体験が甦ってきた「やまだ道 耶麻霊サキの青春」。
そして、「怨臭の彼方に」の話には笑った笑った、腹の皮がよじれるくらいに。美貌の男優が、永遠の命と引き換えにある取引をして、それが凄いことになっていく話。筒井康隆の「関節話法」を読んだ時以来かなあ、こんなにぐふぐふ笑ったのは。電車の中とか待合室とかで読んでたらと思うと……。そうじゃなくて、ああ、よかった。
なお、表題作「蹴りたい田中」が第130回茶川賞を受賞している。にもかかわらず、謎の失踪を遂げた田中啓文氏。そこには一体どんな経緯があったのか?
その謎にもきっちり答えを出し、決着させている本書の潔さ。思わず脱力してしまうアホらしさ。問答無用の面白さ。
山田正紀、恩田陸、菅 浩江といった著名な寄稿諸氏のあきれ顔、困惑顔が透けて見えるような文章に、決してめげることなどないだろう田中氏の今後の活躍に、一読者として大いに期待したい。
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