本書はアントニオ猪木が書いた半自伝的エッセイである。
猪木の本は数多く読んでいるので重複する点も多いが、
一言で言い表すなら、やはりこの男は生きざまであるということだ。
猪木は単なるプロレスラーではない。事業家であり元国会議員でもある。
事業はそれ程成功しているとは言えないが、猪木の事業には金銭を超えた
ロマンがある。例えばアントンハイセルは食糧危機から人類を救う大きな
理想があったし、最近ではサンゴの増殖事業にも携わっている。
たしかに猪木は商売下手で事業のほとんどは失敗している。
武家の商法と言われればそれまでであるが、猪木がやると伝説になるのである。
国会議員の時もキューバのカストロにあったり、イランの人質を解放したりと
普通の議員では考えもしないようなことを善し悪しは別にして行っている。
やはりこの男ただ者ではないのである。型に収まらない規格外の人間であるため、
誤解されることもしばしばであろうが、ある意味で天才性を持った人物なのだ。
本書は猪木の少年時代からプロレスを引退してから今日までのこと、またこれからの
ことについて語られている。猪木世代の人にとっては懐かしくもあり、これからの彼の
行動にも目が離せないため、興味の尽きない内容となっている。
この男の生き方に何を学ぶかはそれぞれであろう。
踏出力(とうしゅつりょく)とは一歩踏み出す力のことである。この一歩を踏み出す
には勇気がいる。あまり考え過ぎても行動力は鈍る。この踏み出す力においては
猪木に学ぶところは多いと思うのである。考えてから踏み出すのではなく、踏み出してから
考えるのである。このような行動力によって彼はアリ戦やイラクの人質解放など人には
出来ないことをやってのけたのである。
なにはともあれ、猪木信者でなくとも面白く読めると思うので、
是非ご一読されることをお勧めしたい。