自立すらできない不安定ぶりゆえ、車線という法則からも解き放たれ、前後タ
イヤのわずかなトレッドゴムのみで路面と密接に触れあいながら、三次元の中空
を飛翔する解放。スロットルを握り続ければどこまでだっていける自由。そ
の代償として引き受けるのは、ささいなミスひとつでアスファルトの路上に叩き
付けられるリスク。
生ぬるい過保護にどっぷり浸かり切ったこの国で、オートバイは教えてくれ
る。危険と愉悦はいつも裏腹、リスクなく手に入る楽しみなんてたいしたもの
じゃない。
誰もが思うままに生きていける世の中がやってくるには、もう少し時間がかか
りそうだ。だから僕らバイク乗りは一足先に、うたかたの自由を求めて旅に出る
のだ。[あとがきより]
ペーソスとヒューマニズムに満ちた、新たなるモーターサイクル文学の誕生。
「自分の体で実証した言葉を山のように持つ
池田伸の文章を、僕はこの上なく好いている。」
片岡義男 帯/序文より
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