ということで、ドナルドキーンさんが執筆した名著。
実に丁寧に書かれています。
司馬遼太郎さんとの対談でも、
やはり今言うところの「日本的なもの」というものは何か、
どこから始まったかというと、義政の時だと言われていました。
つまり義政の文化的功績は非常に大きいということ。
大雑把にいってしまえば、いわゆる、「わび・さび」の文化です。
しかし、将軍義政は人間としては、政治をほったらかし、
自宅周辺で数万人が餓死しようと、十万二十万の
大群が激突しようとも、一切知らぬふりで通した、
人間とこれが果たしていえるのか、何を考えていたのか、
あるいは何か考えていたのか、非常に理解に苦しむ人物。
芸術家皇帝として、よく比較に出される宋の徽宗とも比べ、
時代背景は一休などに至るまで書かれ、
義政自身は生い立ちや家庭環境、血縁関係から(特に日野氏との
二重三重の血縁関係)分析しています。
結果的にこうだ、という明確な結論が出にくいところですが、
はっきりとさせないところが日本らしさでもあるので、
その意味でも見事な作品でしょう。
日本らしさ、日本文化とはいつの時代の日本のことかといわれると、
なかなか日本人にはこたえられないところですが、
外国の方の目から(しかも日本をよく知っている)見ることで、
大きな歴史的収穫をわれわれは享受することが今日できるのです。