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足利尊氏と直義―京の夢、鎌倉の夢 (歴史文化ライブラリー)
 
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足利尊氏と直義―京の夢、鎌倉の夢 (歴史文化ライブラリー) [単行本]

峰岸 純夫
5つ星のうち 3.3  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

室町幕府成立後の尊氏・直義兄弟の確執は、義詮・直冬の争闘を経て、幕府と鎌倉府という二つの支配体制成立の要因となる。対立の実態を『太平記』などから当時の政治過程に位置づけて再現。神護寺三画像の比定も試みる。

レビュー

担当編集者より
骨肉の争い、という言葉がありますが、日本の歴史を繙けば親子・兄弟など肉親同士の間で繰り広げられた闘いが、歴史の流れそのものを変えた例は数多く見受けられます。本書で取り上げた足利尊氏・直義兄弟間の相剋も、その好例と言えるでしょう。尊氏・直義兄弟は協力して鎌倉幕府を倒し、南北朝の動乱期を乗りきり、みごと新政権を樹立します。武闘派としての能力を発揮する尊氏、内政を取り仕切る官僚型の直義。互いの個性を生かしながら政権の安定に奔走する二人は、しかしなぜ反目し憎しみ合うようになったのでしょうか?『太平記』など当時の記録を読み解くことで明らかになってくる二人の意外な性格と人物像。兄弟間の確執と対立は、やがて執事の高氏と上杉氏の代理戦争を経て、全国的な動乱へと発展していきます。京と鎌倉――それぞれの地に兄弟国家の実現を夢見ながらも挫折していく尊氏・直義兄弟のその後については是非とも本書をお読み下さい。(糸)

登録情報

  • 単行本: 190ページ
  • 出版社: 吉川弘文館 (2009/5/21)
  • ISBN-10: 4642056726
  • ISBN-13: 978-4642056724
  • 発売日: 2009/5/21
  • 商品の寸法: 18.8 x 13 x 2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.3  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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形式:単行本
目新しい内容に期待して読んでみたが、前半はほとんど既刊の名著に則した内容で、佐藤進一先生の「南北朝の動乱」を筆頭に、藤本正行、瀬野精一郎氏らの著書に掲げられた見解を取り上げてその論理性を再確認するという感じだった。

そこから派生させて徐々にこの二人をよりディープに追求してもらえるかと読み進めたものの…文章自体にあまり色気(笑)もなく、無駄や重複も多いしで、肝心カナメの兄弟それぞれの人物像にもハッとするようなツッコミはなく、一般的にどこでも語られてきた形容をなぞっただけで、正直面白みはなかった。

ただ、後半から湧いて出てきた「鎌倉府」の三文字にだけは目が輝いた(笑)

初代鎌倉公方・足利基氏以来の鎌倉府ではなく、足利直義が構想を練っていたであろう建武の親政後の鎌倉の体制。それが、観応の擾乱の決定戦となった薩タ(「土」辺に「垂」)山合戦以後、尊氏によって構築された東国の政治体制、著者名する「薩タ(「土」辺に「垂」)山体制」と並べて語られていたのは嬉しかった。
ここでは尊氏と直義の鎌倉経営がどうだったか、つまり公方と管領の体制が固定する以前から、二人が各々の意図を持って関わった鎌倉にスポットライトが当たっているところがいい。
とくに鎌倉経営首脳陣たちの関東在留期間を表にして併載してくれた点はかなり有難かった!

タイトルの兄弟の人物像の掘り下げについては後半でも、記録やら資料からポイントを抜粋して見解が述べられてはいるが…、これまた参考文献の各書の方がわかりやすいので、特筆すべき部分はなし。
たとえば直義の人物像に迫るべく、川瀬一馬校注・訳『夢中問答集』を参考に著者自身が意訳した事例も、「一般の人には判りにくい」と述べるなら意訳でわかりやすく、直義の人物像に突っ込んでくれればよいものを、その効果はほとんど感じられなかったし、尊氏毒殺説は否定派だったが、挙げた根拠の説得力は弱かった。

自分的にもっともインパクトのあった「京の夢 鎌倉の夢」というタイトルに触れた内容については、エピローグのタイトルにもなっていたので、京と鎌倉に抱いた尊氏の夢、直義の夢をここで総まとめにして語るのかと思いきや、面食らうほどあっさりしすぎてて、夢破れた直義の失望などは伝わってこなかった。
天下国家を動かそうと躍進して、結果相争った兄弟を語るのにはややドライすぎる感が。

というわけで、本著に記載されている参考文献の半分くらいを、すでに読んでいる南北朝ファンにとっての新たな収穫は、先述の表ひとつくらい。
それらを読んでないビギナー向けという感じだが…それにしては構成とか、読みづらいし…。文章はイマイチだし…。

第一、尊氏直義兄弟ファンには残念な内容という気もするので、一部の熱狂的な鎌倉府ファン(笑)になら、おすすめできるかもしれない。
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By カーマイン トップ1000レビュアー
形式:単行本
 南北朝時代の足利尊氏と直義の関係を中心として考察する本です。他のレビュアーの方が「色気がない」と言われてますが至言。あまり物語性を感じにくい、いかにも学者が書いた本だなぁという印象のちょっと殺風景な文章です。躁鬱気味の尊氏と、実直な直義は、本来は仲の悪い兄弟ではないですが、この二人の対立が南北朝の騒乱の大きな要因になったことも確かです。室町幕府では、尊氏は軍事を担当し、直義は政務を担当するという役割分担ができており、いわば兄弟の政権でした。南朝と戦うためにはたくさんの豪族を味方につけなければなりません。そのため、戦闘で手に入れた領地をどんどん恩賞として与えることが大切です。一方、内政を確立するためにはそのような切り取り強盗のようなマネをいつまでもさせておくわけにはいかない。このあたりの矛盾が二人の立場を大きく隔たらせたのかもしれません。この時代の軍団というのは中核は強固でもそれ以外は日和見主義の武士団の寄せ集めにすぎないので、裏切り方にも節操がなく、なかなか戦争するのも大変そうです。尊氏も直義も大量に戦っていますし、かなり負けています。そういう時代に、清濁を併せ呑むような度量のある尊氏はマッチしたのかもしれません。その一方、欝モードに入るとすっかりやる気もなくなる人だったようですが。尊氏は一時はこの世の果報は直義に譲り、自分は隠遁したいとおもったこともあったらしいです。お互いに優秀でお互いにベストパートナーだったはずの兄弟が、結局大げんかすることになるというのはなんとも皮肉なところがあります。
このレビューは参考になりましたか?
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形式:単行本
足利政権草創期において主従制的支配権を掌握する尊氏と、統治権的支配権を司る直義。

この二頭政治の軋みが、直義と幕府執事高師直の対立、

師直の武装蜂起と直義の出家を経て尊氏・直義兄弟の直接対決に至る。

勝利を収めた直義は、師直らの出家を条件に尊氏と和睦するが、

これを無視した上杉能憲が師直らを族滅に追い込む。

この際の尊氏の胸中を、

「自分に忠誠を尽くした高一族を守れなかったことに痛恨の思いを抱き」
「高を滅ぼした上杉は許せない」

と忖度する著者の視線は誠に核心を突いている。

兄弟相剋の第二幕が始まるのは不可避であったが、その実態を薬師寺公義ら高残党と上杉の戦いと喝破したのは当該期の知性の体現者、洞院公賢である。

何れにせよ尊氏・直義兄弟の命のやり取りではない。

「養子の基氏と上杉憲顕らとともに鎌倉府を固め、兄尊氏との和平を実現し、

 京都(尊氏−義詮)、鎌倉(直義−基氏)の兄弟国家を実現する」

というヴィジョンを持つ直義に対し、尊氏が目指すのは上杉の排除であり、

その一点を賭けた決戦を制した尊氏に、最早血を分け苦楽を共にした弟の命を奪う理由など何もない。

良質の史料には記述されない「直義毒殺」が、因果応報の観点からの『太平記』の捏造であることを鋭く暴き立てる著者の慧眼を称えたい。

東国の主の座は基氏の子孫に継承された。

尊氏・直義共通の構想であったであろう「直義による基氏の後見」は見果てぬ夢に終わったにせよ、

そしてその後の東西関係が波乱の連続であったにせよ、

「京の夢、鎌倉の夢」はともかくもその像を結んだと言って大過あるまい。
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