大江健三郎氏らとの対談、沼野充義氏らとの鼎談に、リービさんのエッセイ、講演採録などをまとめた一書。
概ねは日本語で書くリービさんの姿勢をめぐって、あるいは<9.11>のちょうどそのときに合州国に入国できずカナダで足止めを食らったリービさんの体験、それを昇華した作品「千々にくだけて」などをめぐるものだが、面白かったのは水村美苗さんとの対談、ここで水村さんは文学は文学を愛する者だけのためのものだということを吐露しているように思える。そうした姿勢はリービさんにも他の話者にもある程度共通しているものに感じられる。そこから、たとえば東アジア文学の共同といった視線が説得力をもって紹介されたりするわけだが、このカジュアル化の歯止めがかからない日本の出版界、文学界に対してはどうという対処も語られない。それぞれ、自分のことで大変だからとも言えようし、一歩間違えれば「新しい」エリート主義にも思える。もっともっと日本の現状との往復がほしいのでは。一方的なないものねだりか。