内容紹介
かに重要な書物であれ、その書物が読者に届かなければ何の力も持たない。検閲、発禁や閲覧、所有制限のように、意図的に書物の流れが統制される場合にはこうした問題は意識にのぼりやすいが、そうでなくともさまざまな流通手段やインフラ、経済的な諸条件のなかで書物の流れは常に制限や統制を受けている。書物の流通環境や読書環境の制約から完全に自由な読者などありはしないのは当然のことだ。私たちは「自由に」読んでいるわけではないのだ。
書物の場所を問い、その流れを追うという問題意識の根底には、私たちがいかに読み、書く行為と関わってきたのか、そして関わっていくのか、という問いが横たわっている。その問いは、現在私たちがどのような書物を、どのような形で手に取るのかという行為そのものに向けられた問いであり、私たちの情報環境自体を歴史的にとらえなおす契機、端緒ともなるだろう。書物の場所や移動を問うという本書のねらいはそこにある。(「序章」より)
内容(「BOOK」データベースより)
なぜそこにあるのか。だれが運んできたのか。書いた人ではなく仲介した人という視点から、また、どこで読むかという視点から、読むという経験を問い直し、書物と読者の関係を捉え直す「リテラシー史」。海を越えて移動する書物の流れとそれに携わった人びとの関係を、デジタル時代の変容も視野に入れてたどり、新しい「知の流通史」を展望する。