本書では、前巻『超−1怪コレクション黄昏の章』で、特に恐怖感が強調されたのと対になるように、「人に話しても信じて貰えない怪しい話」をテーマに収録している。しかし、得体の知れないものとの突発的な邂逅は底知れぬ気味悪さを湛えており、何なんだ…という読後感はやはり恐怖感に還元されていく。珠玉の実話怪談集である。どれも粒選りなのだが、特に印象深いものを列挙する。
「貸し切り」…何を見たんだろう。そして、見てしまってから何が起きたんだろう…
「婚礼」…新郎の過去に問題があったのだろうか。でも、逆怨みだったら、尚の事、人の思いは恐ろしい。
「ポケット」…守り神?。ご先祖様?。確かに助かるが、自分に普段から絡み付いてるのかと思うと…
「運命の赤い糸」…自殺を考えたり、鬱々としていると、その糸に引っ張り込まれるんだろうか。そして次の仲間を待つ…。事故が多発する場所の原因の一つかも知れないだなんて…
「大福」…義兄『こっちじゃ仏さんになったら頭に大福を載せる習わしがあるんだと思ったんだ』。取った行動への、確かに説得力のある理由。
「挨拶」…嫌ですね。肉親なんだから怖がらせなきゃいいのに。でも周りの大人達が平然としているのが余計不気味に感じる。
「暗黙の了解」…死後もその部屋に棲み続ける霊魂。上手く共存する交渉術を考えたなぁと思った。しかし、更新の時期に合わせて拒絶の意志が伝えられてくる。一回分の契約だけ許したのだろうか。
「早く出てって」…初めは護るために現れたかと思ったが、それは自身を含めた激しい拒絶反応だったのでは…
「家族の食卓」…見えてしまった事も嫌です。でも見えない人が見えない儘、同じ空間に居るのはもっと嫌です。
「取引」…誰かの痛みと交換していくのなら、仲介する悪魔の取り分は何なんだろう。まさか、死の淵で魂を奪うのを待っているのでは…
本書の編集意図に鑑みて、評者個人的に一番の怪異は、「岡持ち」です。余りに不思議すぎて訳が分からなくなる。どの話も実際に体験するとなると嫌だなぁ…