古くからあること、アメリカでひろく普及していること、そして鎮痛薬。私のアスピリンに
まつわる知識は以上の三つだけであった。古い薬であるというイメージは、いわゆる
「ジャズ・エイジ」を「アスピリン・エイジ」とも呼ぶことを知っていたからだ。これは米国の
1920年代を指す言葉だから、当然に製法の特許は切れている。そのため薬価は大変
やすい。しかも消炎・解熱・鎮痛という従来の薬効だけではなく、抗血小板作用が心筋
梗塞や脳梗塞の予防や治療に有効で、果ては大腸がんや痴呆への効果も言われて
いるという。いいことづくめのようだが、我が国ではなじみは薄い。その理由を著者は
日本の医療行政、製薬会社の利益第一主義、予防医学を軽視する医療界の三者に
問題があるとして、アスピリンというひとつの薬を通して徹底的な批判を試みている。
薬効と薬理については良く分かったのだが、厚労省悪玉論についてはどこまで信じて
いいのかは分からない。著者は医師ではないし、とにかく全面的に悪として描かれて
いるので、却って眉につばをつけてしまう。本書では触れていないが梗塞の予防には
なっても、出血リスクも伴う薬だ。著者の見解も分かるが、それだけで判断はできない。
現在はすでに抗血小板薬として定着しているから、知識として読んでおくと良いと思う。