本書では、英文法の中の「時制」「助動詞」「仮定法」「比較」「冠詞」「名詞構文」が主に扱われている。内容は、書名に「やり直し英語」という言葉がついている通り、ある程度英語を学習してきた人たちの英文法に関する思いこみや勘違いなどを是正するために書かれたものとなっている。学生や社会人に向けて書かれているのだろうが、英語の教員にも益するところは大きいと思う。
主に「マンツーマン本格レッスン開始」という著者と生徒との対話形式のなかで、上記の文法事項を扱うという設定だが、これが実にわかりやすい。そこでの様々な説明は著者の言語一般に対する深い理解に基づいていることは言うまでもない。例えば、「If it were not for〜」があるのになぜ「If it were for〜」はないのかという疑問に対して、日本語で「失恋」とは言うが「得恋」とは言わないという例を提示しているところなどは見事である。
もう1つ、竹岡氏の手さばきの鮮やかさを紹介しておきたい。例えば、次のような英作文。
パソコンに慣れれば慣れるほど、手書きの手紙を書くことがなくなる。(151頁)
ここではもちろん「the 比較級、the 比較級」を使うのだが、後半部の「なくなる」という否定の部分がやっかいである。しかし、著者は「適当な形容詞、副詞がないときにはbe likely to (V)を使ってみよう!」とアドバイスする。解答は、「The more used you are to using personal computers, the less likely you are to write letters by hand.」となる。もちろん「the less often you write 〜」というのも可能なのだが、be likely toを使うという発想には思い至ったことがなかったので、すっかり感心してしまった。
その他、上で触れた「If it were not for〜」のitは現実を指している、「I am ten years older than you.」の「ten years」には本来byがついていた(すなわち比較級を強めるfarも元は最上級を強めるby farと同じであった!)など、英語という言語の成り立ちに精通している著者ならではの説明には脱帽する。また、「冠詞」などは上級者にとっても非常に難しい問題だが、本書のその部分を読めば、ある程度の使い方が実感として理解できるようになっている。高校生には、この部分だけでも読んでもらいたいと思う。