シリーズの大半を占める、「本伝」と呼ばれる『超人ロックサーガ』の中での、現時点での最高傑作と言えます。『少年キング』時代に聖先生が描ききれなかった、銀河帝国混乱期のミッシングピースが埋まっただけでなく、ブリアン・ド・ラージュという、帝国を支えた一人の天才が生涯拭えなかった不幸に涙が止まりませんでした。
年表で確認すれば自分の勘違いは一目瞭然だったのですが、私は長い間、「目」だけの皇帝を前にブリアン・ド・ラージュ第一大臣を含む閣僚達が閣議を開く『魔術師の鏡』をカル・ダームIV世の時代だと思い込んでいました。「幻のような会議、幻のような毎日」を怖れ忌み嫌いSOEを再建したカル・ダームIII世が立体映像で自らを「演出」はしないだろうという先入観があったようです。実際にはカル・ダームII世の即位が宇宙歴0677年、『魔術師の鏡』が0724年、カル・ダームIII世の即位が0762年なので、ネオ・ラフノールの反乱の時、時代はカル・ダームII世の治世でした(修正前の年表ではカル・ダームII世の即位は0636年ですが、どちらにしてもネオ・ラフノールの反乱はII世の治世での出来事です)。
レナスのファリスの墓の横にある、今はもう存在しない惑星ファーゴの帝国墓地に埋葬されたはずの、もう一つの「ブリアン・ド・ラージュの墓」を前にロックは真相を語る。
老衰で意識を保てなくなるブリアンを「君の墓碑銘を まだ聞いてないぞ」と呼び止めるロック。
生涯結婚せず子供もつくらなかった、200年以上もただひたすら自分の半身とひとつになることを願っていた男の墓に刻まれた碑文(エピタフ)に胸が一杯になりました。
最終巻である第4巻は後半に、未単行本化の『カルダームI世』を採録。
トレス上皇が銀河コンピューターのキーを皇帝に渡すつもりはないと自らに毒を打ち、冷凍されてフラク・フロニ公に帝国領外へ運び出され消息不明になるという、『ソング・オブ・アース』内の短い回想の全貌が明らかになります。