起請文とは神仏に誓い、その誓約を破ったらその神仏の罰を受けても良いと記した文書。「「中世」といわれる時代に、この列島の上に生を営んだ人々の心をのぞき込もうというのがこの旅の目的なのです。」と始まる著者の一般読者への呼びかけに始まるなみなみならぬ意気込みが伝わる力作。氏はいわゆる新仏教の名僧でなく、多くの人々に共有されていた世界観・宇宙像を探るため起請文を「思想的座標軸」としようとしたわけであるが、その探求内容は中世思想史の最先端といえる。
「聖地納骨」については「なぜ納骨なのか」と言う点に突っ込んでおらず、今後の探求の進展が期待されるものの、この本のダイナミクスはこれらを背景として法然、親鸞のラディカルさを浮彫りにしたところにあるようだ。
著者の「下からの、地域からの歴史像の形成とその連携の中で、新しいより立体的な歴史像をたちあげようとする試み」は思想史のみならず各地域の歴史研究者に向けられたメッセージ。いざ、中世人の心への旅へ。