表題作「走れメロス」は教科書で読んだと言う人も多いはず。
当時は太宰治など気にかけなかった中学生も、大人になるにつれ、太宰といえば、「斜陽」「人間失格」が代表作であり、破滅的思考の持ち主で、数度の自殺未遂を繰り返し、最期もやはり自殺だった-
と言う事を知っているだろう。
その太宰が、、あの中学生の時に読んだあんな健全な作品を残していると言う事実。 そこに多少の矛盾や疑問を感じたら是非再読する事を薦める。
これは「走れメロス」をはじめ、いわゆる太宰中期、荒んだ生活を改め、人間として再起を計った頃の作品を集めたものである。
これを読むと、太宰がいかにまともな人間なのかがよく解る。まともであるが故に社会との軋轢が生ずる。それをニヒリズムに逃げるのではなく、真向から克服しようとしている。時々負けそうになりながら、じめじめと泣きながら、、。
その姿は「富嶽百景」に克明にしるされている。