【Amazon.co.jp特別企画】著者からのコメント
みなさん、鳥取県紅緑村から、こんにちは。桜庭一樹です。
この『赤朽葉家の伝説』は2006年の4月から5月にかけて、故郷の鳥取の実家にこもって一気に書き上げました。わたしは山奥の八墓村っぽいところで生まれ育って、十八歳で東京に出て、小説家になりました。昭和初期で時が止まったようにどこか古くて、ユーモラスで、でも土俗的ななにかの怖ろしい気配にも満ちていて。そんな故郷の空気を取り入れて、中国山脈のおくに隠れ住むサンカの娘が輿入れした、タタラで財を成した製鉄一族、赤朽葉家の盛衰を描いたのが本書です。不思議な千里眼を持ち一族の経済を助ける祖母、万葉。町で噂の不良少女となり、そののちレディースを描く少女漫画家となって一世を風靡する母、毛毬。何者にもなれず、偉大な祖母と母の存在に脅えるニートの娘、瞳子。三人の「かつての少女」の生き様から、わたしたちの「いま」を、読んでくれたあなたと一緒に、これから探していけたらいいなぁ、と思っております。
実家での執筆中、気分転換にと庭に出たら、犬に噛まれました。(甘噛みではありません)屋内では猫に踏まれました。あと、小腹がすいたと台所で冷蔵庫の中を物色していたら、父に「こら、ゴン!」と、犬と呼び間違えられました。執筆のあいだ、いろいろなことがあり、いまではなつかしい思い出です。
桜庭一樹
出版社 / 著者からの内容紹介
「山の民」に置き去られた赤ん坊。この子は村の若夫婦に引き取られ、のちには製鉄業で財を成した旧家赤朽葉家に望まれて輿入れし、赤朽葉家の「千里眼奥様」と呼ばれることになる。これが、わたしの祖母である赤朽葉万葉だ。――千里眼の祖母、漫画家の母、そしてニートのわたし。高度経済成長、バブル崩壊を経て平成の世に至る現代史を背景に、鳥取の旧家に生きる3代の女たち、そして彼女たちを取り巻く不思議な一族の血脈を比類ない筆致で鮮やかに描き上げた渾身の雄編。2006年を締め括る著者の新たなる代表作、桜庭一樹はここまで凄かった!