原題は、 THE RED WIDOW MURDERS
−−直訳すると、赤後家の殺人。
「赤後家」とは、作品の舞台となる
マントリング邸にある「ギロチンの間」のこと。
この部屋では、初代当主を含め、
4人の人間が謎の死を遂げており、
2時間以上1人でいると死ぬと恐れられているのです。
この部屋は長らく封印されていましたが、
屋敷が買収され、取り壊されることとなったことから、
封印が解かれることになりました。
屋敷には、マントリング家の関係者が集められ、
そこには、ヘンリ・メリヴェル卿の姿も。
やがてカードで選ばれた一人が
「赤後家」に2時間籠もることになったのですが、
果たしてその人物は、2時間後に死体で発見されます。
その状況は、密室状態で、すべての関係者には
アリバイがあるという不可能犯罪となってしまい、
ヘンリ・メリヴェル卿は、
犯行を阻止できなかったことに苦しみながらも、
推理を積み重ねていくのですが・・・。
死因は毒殺なのですが、
どうやって殺害したのか、
そのトリックがなかなか面白い作品です。
死体の傍らには、カードと羊皮紙が添えられており、
その謎も興味をそそる要素になっています。
また、「赤後家」誕生秘話というべきものが、
フランス革命の史実と織り交ぜて描かれており、
歴史小説+怪奇小説の味わいも楽しむことができますし、
推理という点では、名脇役のマスターズ警部が
密室トリック解明の推理(もちろん真相ではないのですが)
を披露するところも、一つの読みどころといえましょう。
殊に推理の過程でとても面白いと思ったのは、
なぜ「赤後家」が犯行現場に選ばれたのか、
という説明がされていることでした。
なかなかユニークな視点ではないかと思います。
本書は、カーター・ディクスン名義の第4作で、
脂の乗った時期の充実した一作といえるのではないでしょうか。