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赤を見る―感覚の進化と意識の存在理由
 
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赤を見る―感覚の進化と意識の存在理由 [単行本]

ニコラス ハンフリー , Nicholas Humphrey , 柴田 裕之
5つ星のうち 4.1  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)

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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

脳科学や心理学がいくら進歩したといっても、「視覚のクオリア」という用語が示すように、「私たちはいったい何を見ているのか」を記述しようとすれば、たちまち言葉に詰まり、立ち往生してしまうだろう。本書は、才気あふれる進化心理学者が、「赤を見る」というただひとつの経験にしぼり、この難題に挑んだ野心作である。「赤を見ている心」をどう記述すればよいのか。あなたの見ている赤と私の見ている赤は同じものか。赤の感覚と、感情や知覚との関係とは?相手と分かりあえる共感は最近注目のミラーニューロンの仕事?さらには、感覚と心の進化の物語をたどり、「意識の迷宮」へと問いを進めていく。問いを詰めていった先に著者が見出した意識の存在理由をめぐる結論は、「コロンブスの卵」的なものであった。意識は、この人生を生きることが大切で有意義なものであると思わせるべく存在し(だからこそ「他者の自己」を尊重する気持ちも生じ)、そのために不可解な性質を持たねばならなかった、と。スリリングで示唆に富む心の哲学・心理学の一冊。

内容(「MARC」データベースより)

あなたの見ている赤と私の見ている赤は同じものか。赤の感覚と、感情や知覚との関係は? 進化心理学者が、「赤を見る」というただひとつの経験を通し、感覚・感情・知覚の謎、そして「意識の迷宮」へと誘う。

登録情報

  • 単行本: 172ページ
  • 出版社: 紀伊國屋書店 (2006/11)
  • ISBN-10: 4314010177
  • ISBN-13: 978-4314010177
  • 発売日: 2006/11
  • 商品の寸法: 18.2 x 14.8 x 2.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.1  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 343,166位 (本のベストセラーを見る)
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19 人中、17人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By お気に召すまま トップ1000レビュアー
形式:単行本
著者はイギリスの進化心理学者で、サルの「盲視」の発見者として名高い。2004年にハーバード大学で行った「赤を見る」という講義が本になった。人間の身体は完全に物質から出来ている。しかし一方で人間は意識を持っている。その意識は、物質とはまったく違ったありかたをしている。とすれば、「物質がいかにして意識を持ちうるのか?」という難問が生まれる。たとえば、我々には「薔薇が赤く見える」。しかし脳の中のどこを探しても「赤い色」は存在しない。赤さと無縁の物質たる脳が、どこで「赤い色」を生み出すのだろうか。

この難問に著者は進化心理学の観点から答える。著者は感覚のもつ「いわく言いがたい感じ」こそ、意識の原型だと考える。我々のもつ感覚は、アメーバのような原初の生物が外界の刺激に「身悶えして」(p97)反応したことの名残なのだ。「身悶え反応」は、高等生物に進化するに従って鎮まり、脳の中に内面化された。原初の「身悶え反応」は、外界の客観的認識である「知覚」にもとづく対応行動と、もとの「身悶え」に由来する「情緒」「好悪の感じ」「気分」を伴う「感覚」とに分化した。我々がマティスの絵の「赤さ」に「衝撃を受けたり」、音楽に「陶酔」したりするのは、我々の「感覚」に残る、遠い昔の「身悶え」の残響である、と。ここまでは良い。が、その「いわく言いがたい感じ」と「意識」を結びつける議論がやや説明不足。
このレビューは参考になりましたか?
18 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
感覚というのは一種の行動である、という奇妙奇天烈な説を、寄せ手からめ手から解説し、読み終わるときにはなるほど!とおもわせてくれました。
「知覚」と「感覚」は同時並行に進行するものであり、「感覚」が失われてもなお「知覚」は可能であるということを、「盲視」という症例をもとに説明したり、
(盲視: 脳に損傷を受けて、本人は「見える」とはおもえないのに、実際には「見えていて、わかる」ということがあるらしい)
「感覚」は「反応」をモニターする機能として進化してきたと考えられる、ということを「電話」という一人芝居を例に出して説明したり、
「ミラーニューロン」が、行動の一種であるところの「感覚」を、それが行動であるがゆえに模倣しやすく、よって社会的な「共感」の基盤になっているという話や、
(人形劇や昆虫など、実際には「感覚」をもっていないであろう「対象」に「感情移入」できてしまうのは、ここらへんが関係しているのだろうかと、勝手に想像してちょっと興奮しました)
「感覚」は「現在という瞬間」を、その前後の時間的厚みをともなって感じられる理由や、
とにもかくにも、「感覚」というものが何なのか、そしてその果たす意義について、興奮を味わいながら楽しめた本でした。
このレビューは参考になりましたか?
8 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By patella
形式:単行本
 「クオリア」をわかりやすく説明した本かと想像して開いたが、どうしてどうして、内容は簡単ではなかった。手に取りやすさ、読みやすいがなかなか刺激的な文章で引っ張ってくれるので読み通せるが、単行本、せめては科学の新書に収まってもいい内容が詩集や絵本のような概観をまとっている、といった感じである。

 講演会場のスクリーンに何度も同じような図を表示していくように、少しずつ、具体的に説明が進められるので、理解しづらい心理学的な内容もだんだんとわかるようになってくる。2004年に著者がハーヴァード大学で行った講演内容に基づいてまとめられたものだそうであるが、なかなか話し上手である。

 著者は進化心理学者。進化から感覚・意識の説明を試みている。心理学者は生物学者などよりはかなり「文学より」なのだろう、「(感覚は)最初は局所的な、外界の刺激への<身悶え>だった」という文章などにはちょっと擬人化が過ぎる感も否めない。ときたま「目的論」的言葉が使われるのも、読み手は注意を要するだろう。しかし、知覚された感覚が統合されて「意識」の基盤が確立されたのではないか、という導き方は無理がなく、そこに著者のユニークな意見が組み合わさって刺激的で、示唆に富む内容になっている。
 「意識が重要なのは、不可解な性質ゆえである!」という、裏表紙に引用された一文もその一つであるが、「感覚を持つことで主体は意識を持つようになる」「心と身体は別である(心身二元論)も、そう考えるように意識ができているからだ」など、ぱっとみには意外な感じもするが、言われてみればそうとも納得できる切り口の主張が随所にある。「意識には時間というファクターが重要」という指摘も、フィードバックという概念が時間を抜きにしては考えられないことと深いつながりを考えさせられたり、広がりのある考え方を示してくれるものをたくさん提供してくれた。
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