今起きているソブリンリスクが金融機関のストラクチャード・ファイナンスに起因し、やがてリーマンショックへと至り、金融機関への公的資金注入が現在のソブリンリスクに至っているというのは、著者の格付け会社を題材にした「トリプルA」に書かれている所である。
「赤い三日月」でのソブリンリスクは1980年代後半〜1990年の発展途上にあるトルコを題材にしているが、恐らく現在の欧州諸国でも同じような葛藤を抱いているのだと考える。
この著ではイラクのクウェート侵攻や経済に疎い政治家の台頭などをリスクとして取り上げているが、現代の欧州においてもECという枠組みの中の過剰信用供与という状況は前著「トリプルA」のストラクチャード・ファイナンスの行く末とも状況が類似しているし、日本を含め政治がソブリンリスクに対して本質的な危機感を抱いているのかという疑問は「赤い三日月」とも共通しているように感じる。
しかし、今の先進国の先行きを考えると「赤い三日月」のような危機回避と明るい展望へ繋がるとは考えにくいことから、本著を参考に今後の私たちの現実的な近未来をウォッチし、備えていく必要を示唆してくれるように思う。