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大衆の喜びそうな面白い小説を書くのは作家としての堕落だといった概念が強かった当時、トップ屋での経験をフルに生かしたこの物語は、かなりの物議をかもしたものの、正に、エンターテイメントを求める大衆にとっては待望の作品と評価されたと言って良い。
借金地獄に追い込まれた主人公木塚慶太は、海に身を投げたが、希代の相場師である档玄一郎に救われる。その森玄が買方として、又、大物相場師で取引所の理事長を務める松崎辰治が売り方の総帥として命をかけて取組んでいたのが小豆相場だ。木塚慶太も、そのあこがれの女性である井戸美子もこの魔物といわれた相場に引き込まれていく。
息をつかせぬ相場展開、騙し騙されの男女関係、詐欺師あり、人情ありとエンターテイメント要素に溢れている。
梶山季之の作家としてのデビュー作に近い作品だが、彼の最高傑作と評価する人も多いようだ。
相場師にいっぱい食わされてしまうのである。読み所は新鋭の元大陸軍人の森氏と彼を取り巻く輸入ブローカーや商社の商品部長、新聞記者と対する米相場で財を成した松辰との熾烈な腕力相場のせめぎあいである。とにかく50年前の金に狂った者たちのエネルギーがひしひしと伝わってくる。
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