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贋世捨人
 
 

贋世捨人 [単行本]

車谷 長吉
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商品の説明

出版社 / 著者からの内容紹介

私は愚図で、腑抜けだった。時代の最後尾を、抜き身で生きていこうとした“青年”の宿痾を描きこんだ私小説家・車谷長吉の真骨頂 --このテキストは、 文庫 版に関連付けられています。

内容(「BOOK」データベースより)

時代の最先端を見据えながら、併しそこから距離を取って、時代の最後尾、びりッ尻を「蝸牛の歩み」で歩いて行こうと思うた。迷いの逆渦の中に吸い込まれた青年の「宿縁」はどこにあるのか―「骨身に沁みたことを骨身に沁みた言葉」で書きあげた420枚。

登録情報

  • 単行本: 241ページ
  • 出版社: 新潮社 (2002/10)
  • ISBN-10: 4103884061
  • ISBN-13: 978-4103884064
  • 発売日: 2002/10
  • 商品の寸法: 20 x 14 x 2.5 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 788,818位 (本のベストセラーを見る)
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形式:文庫
車谷は「赤目四十八瀧心中未遂」で1998年に直木賞を取ったが、本来は純文学系なので芥川賞が相応しい。こういう事は珍しいが過去にもある。1952年に「或る『小倉日記』伝」で芥川賞を取った松本清張は、本来なら直木賞作家だろう。事実、直木賞選考委員を長年もやっていた。

それはさておき、本書は車谷の自伝的作品で、大学を卒業したら本だけを読んで暮らしたいと本当に思っていて、母に面罵され不承不承、或る広告会社に入るわけだが、それから失恋、失職を経て流浪の生活が始まり、その過程で本を読む事から、本を書く事への渇望が生じる。

しかし書けない。或るとき、西行の文庫本を買い、その中に「世捨て」という生き方があるのを知り、憧れるが、自分の事を贋世捨人と自嘲するのだ。

話の本流ではないが、広告会社から小さな新左翼系出版社に転職し、編集に携わっていた時、沖縄特集の企画があり、大江健三郎が「オキナワ・ノート」を書いていたので、電話で原稿依頼をした事があった。

その時大江は、「ボ、ボクは新潮社、講談社、ブ、ブ、文藝春秋に岩波書店、それから、ア、朝日新聞以外には書かないんだ」と云って断った。糞ったれと思った――。それを読んで私も糞ったれと思った。
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19 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
最近、この著者にはまっている。どうして、どちらかというと根暗で後ろ向きのこの著者の作品に惹かれるのだろうか。
 車谷さんの生き方が不恰好で、どんくさくて、スマートからほど遠いところに共感を覚えているのかもしれない。

 慶応を出て商社・出版社と転職し、流れ流れて料理屋の下足番へ。西行にあこがれたそうだが、母親に西行は山の中にいても荘園からの上がりはたくさんあったと非難される。
 もともと、そんなに裕福でない家庭から無理して大学を出してもらったのに、料理屋の下足番に満足している息子に母親は満足できなかったのだろう。
 

 彼は資本主義における金儲け主義が気に入らず、反体制主義者だ。だからといって、特別なことをするわけではなく、日々の仕事を坦々とこなす。

 僕は世捨人になるほどの勇気はないから、仕事にしがみつき今の生活を何とかよくしようと悪戦苦闘しているわけだが、彼の考えもわかる。深いプールの真ん中で手足をばたばたさせている僕の隣で、車谷は何もせず浮いている。どうしてそんなにあせってバタバタしているんだい、何もしなくってももともと何も持たずに来て、何も持たずに行くだけなんだよと彼にいわれているような気がした。

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題名が秀逸 2010/10/17
形式:文庫
昔、つげ義春、岡林信康、早川義男が好きだった。(決して手塚治虫や吉田拓郎や矢沢永吉や大瀧詠一ではなかった)。彼らの生き方や考え方にどことなく共鳴した。共鳴したが、どういうところに共鳴したのかうまく言えなかった。そしてこの本を読んで目から鱗が落ちた。『贋世捨人』。まさにそれなのである。俗人として割り切って世渡りすることも、潔く頭を丸めることもできない半端者。寺の前まで行って帰ってくる。あるいは僧侶に説明だけ聞いておそれをなして尻尾を巻いて引き下がる。なんて格好悪いのだろう。なんてヘタレなのだろう。だがとてもよくわかる。黙って修行を続ける僧は、むろん尊敬に値する。しかし共感は抱かない。自分とは遠すぎるからである。偉すぎるからである。言い訳いっぱい垂れて、煩悩に掻き回されて、いちいち大袈裟に過敏に反応し、なんやかんや言いながらも生臭く、地べたをのたうち回るこの主人公の方がより近しい。
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