研究職を目指す者、あるいは質的研究を始めたい学部生・大学院生に、ぜひ読んでもらいたい。
質的研究は、いかに現状をリアルに言い当てるか、というところに醍醐味があると思う。本書では、そこに行き着くために研究者はどのような注意を払えばよいのか、実際のデータを用いて解説されている。また、質的データと量的データは対立するものではなく、補い合うこともできる、という主張は、多くのプロジェクトに関わってきた筆者だけに説得力がある。
筆者の講演を聞いたことがあるが、講演での涼やかな印象とはまた違った、研究者としての情熱を感じさせる一冊であった。自分が行おうとしている研究は「対象者が負う負担だけの社会的意義があるのか」、研究の倫理についても考えさせられた。
研究者を目指す者として、読んでおきたい一冊である。