地方アパート投資を勧める著者の通算3冊目の不動産投資指南書になります。
前作の「まずはアパート一棟買いなさい!」の続編になります。
今回は今年3月11日に起きた「東日本大震災」を反映した地震に対するリスクヘッジについても大きく紙面を割いて言及しております。
不動産投資本の中では今後の市況を予想して
・人口の減少
・物件の供給過剰
の2点から、今後は首都圏で物件を持たないと苦しいというような論調で書いている方がほとんどです。
だから著者のように
・やるなら最初から一棟アパート
・少なくとも利回り15%以上、できれば20%前後の高利回り物件を狙って高稼働させる
・それには地方や都市部の築古物件など、ニッチで勝負すること
と「利回り重視の地方投資」を勧めている方は少ない。
で、前述の「人口の減少」と「物件の供給過剰」についても
・人口の減少が即空室増には繋がらない。特に今回の大震災の復興で資材は高騰し、現地以外では新規物件の開発は軟調になる。さらにタワーマンションがもてはやされてきたが、震災時には電気が止まればエレベーターが動かなくなる等の問題が出ることが判明。人気も下落すると予想。
・賃貸経営者の中でも本気で勉強していない「地主系大家」は多く、特に首都圏よりも地方はそういう傾向は強い。よって真剣に勉強し努力すれば新規参入組にも勝ち目は十二分にある。
として特に問題とは捉えてはいません。
実は著者が北関東に所有している物件も今回の大震災で被害を受けたものの地震保険に加入していたため、保険で修繕ができたそうです。
それ故に「地震保険に必ず加入しましょう」と著者が教えるのも至極当然でありましょう。
只、保険会社は東北地方を「地震の危険の少ないエリア」と色分けして、保険料を少なくしていたそうですよ。
私が調べたところでは、日本の地盤の強固なエリアというのは「東日本よりも西日本に偏っている」んです。
だから、それを保険会社が考慮していないことに驚きました。過去の大地震の発生の確率からしか判断していなかったんでしょうか?
地震保険の掛け金の上限は「火災保険の半分」と決まっているので、通常は建物価格の全額は補償されない。
ですが例外があり、
・東京海上日動の「超保険」という商品の「地震危険等上乗せ補償特約」です。
これに加入すれば100%補償がされるそうですよ。但し・・・当然に保険料はその分は高額になりますが。
著者が都心の物件よりも地方の物件を勧めるのは一にも二にも「収益性が高い物件が多い」ことにあります。
物件は資産価値よりも収益性重視で選ぶのが基本だと著者は述べます。
構造もRC造派が多くを占める業界において、木造アパート推奨の少数派持論を展開しております。
RC造物件が投資家にもてはやされてきた背景には金融機関の融資情勢が密接に関係しております。
つまりRC造物件のほうが長期で融資が引きやすく、規模が大きい分、収入も貯まり易いので短期間で資産を増やせる。
所謂「レバレッジ(梃子の原理)が利いて、少額資金で大きな投資が可能」だったということがあります。
ですが、著者は多くの投資家が見逃している「RC造物件の維持費(修繕費・固定資産税等)が高額になる」点を指摘。
エレベーターの2012年問題などとも併せて、RC造物件は金喰い虫の面が強いことから避けることにしているようです。
そうなると木造築古物件・・・・・金融機関からの融資が引けるの?という疑問が出てきます。
確かにRC造物件では有利な金融機関の融資も、耐用年数が短い木造では一気に不利になります。
ですので、そこは「スルガ銀行」など木造築古物件でも耐用年数に関係なく融資を出してくれる金融機関に頼らざろう得ない面はあります。
スルガの金利は「当初4.5%」ですよ!
融資における属性が良くて、自己資金が多い方なら通常はスルガ銀行からは借りません。借りても何のメリットもないから。
著者は金利は高くても借りられるなら借りてしまいなさいということを述べています。
前述のスルガ銀行にしてもです、賃貸経営を安定して回していければ何年後かに「金利を下げる交渉が可能」なのですよ。
だから当初金利4.5%で借りても、交渉で3%台に落とすようにすればいいか、もしくは後から他行に借り替えればいいんだそうです。
ある種の「見切り発車」ではありますよね。ですが、実際に著者自身がスルガ銀行から借りて、金利を3%前半に交渉で下げてもらった実績もあります。
最初は高金利でのスタートでも、後から交渉&借り換えで下げればいいというのが著者の作戦になります。
また高金利にも耐えられることを見越して「地方の高利回り物件を買う」のだとも捉えられます。
融資先の候補としては前述のスルガ以外では
・日本政策金融公庫
・信用金庫や信用組合
・千葉銀行
・オリックス信託銀行
・住信ローン&ファイナンス
・シティバンク
・東京スター銀行
が挙がります。
但し、地方でも場所は選ばないと当然にいけません。著者が避けたほうがいいと言っているのは
・1つの企業および関連企業に経済を依存しているような「企業城下町」(名古屋のトヨタ依存のような)
・賃料の相場が1部屋当たり3万円を切っているようなエリア(修繕等のトラブル時に賃料の数か月分が平気で飛ぶ)
・部屋が極端に狭い物件。バス・トイレ別も地方なら必須。(土地が広い分、1部屋の面積が取れる)
・間取りは2DK以上を推奨。「大は小を兼ねる」という理屈。木造アパートなら間取り変更も比較的容易。
等を判断基準とすると良いようです。
後は設備等ですが、他の投資本では「モニター付きインターホン」や「ウォシュレット」を付けなさいなど当たり前のように言われてます。
しかし、著者はそれが実際の入居にどれだけ貢献しているのかは不明として、よく言われている
・和室は人気がない。だから和室→フローリングの洋室に変えたほうがいい!
という論調にも疑問を投げ掛け、入居希望者に意見を聞いて「そうすることで入居してくれるなら実施する」にしたほうが選択の幅が広くなって
結局はオーナーも入居者も得をすると言っています。
要はリフォームにも同じことが言えるのですが「ケース・バイ・ケース」で柔軟な対応が求められるのですよね。
通り一辺倒のマニュアル式の対応では管理会社や工事業者とのコミュニケーションにも支障が出る。
設備で私が意見として付け足すなら「エアコン」ですね。エアコンは家電の中でも冷蔵庫よりも電気代が掛かり、家計の電気代の中でダントツの割合を占めるそうです。
だから、時間経過で「省エネの製品が次々と新規で出てくる確率が他の家電よりも高い」ということになります。
現在の製品と5年前の製品では省エネ性に大きな開きがあるなんてことはザラ。
だから「電気代を食うエアコンは入居者にも嫌われます」。基本的に設備で部屋には付いている物だからこそ余計。
なので、エアコンは7〜8年のスパンで省エネ性の高い製品に入れ替えるのがいいと思います。
その場合はコストを抑える意味でもヤフーオークションでの落札を利用すればいいかと思います。
型式は数年は古くなっても、10年近く前の商品よりも後発の製品のほうが基本的に省エネ性は高いと考えられるからです。
こうして見ていくと著者の目線は終始「自己資金は少ないのだけど、不動産投資で安定した収入を得たいと考えている方」を向いています。
構成人数の絶対数で考えれば、読者対象としてそれは間違っていないと思います。
今回も安定した出来栄えです。文句なく★5つ進呈させていただきます。