賃貸営業でトップの成績を収め続けて、ワンルームマンションの分譲に関わった著者が勧めるワンルームマンション投資。
著者は東京23区にエリアを限定した中古ワンルームマンションを複数購入することで安定した収入が得られると説きます。
しかし・・・・そもそもワンルームマンション投資には懐疑的な部分が多々あります。
まずそんなに簡単に儲かるならば、分譲する業者が自分たちで持つでしょう。
それを一般の不動産の素人に売り付けるのは何故なのか?という点で「儲からないから」という結論が見えてきます。
空室になれば賃料収入がゼロになりますし、修繕積立金・管理費は毎月のように掛かりますので経費も馬鹿になりません。
そのリスクを考えれば自分たちで持つよりも他人に売り付けたほうがリスクが小さく儲けられます。
それにワンルームマンションだけ持っていても「いつまで経っても資産はできない」と考えて間違いないでしょう。
スピードが遅過ぎるのですよ。現に最初はワンルームから投資を始めた方の多くはそのことに後から気が付いて、
一棟丸ごとの投資に移行している方が多い。
そりゃ、最初に現金で一括購入すれば話は違いますよ。現金で購入すればリスクは限りなく小さくなりますから。
ですが、この本では「基本的に融資を組んで買うこと」を推奨しています。それではリスクは極めて高い。
私も不動産業界の人間で数年前に今の会社に転職する前にいくつかの投資用ワンルームマンションの面接を受けたのですが、
そういう会社は「電話営業」で何も知らない素人の地方の農家や公務員といったある程度お金がある人に買わせてるんですが、
購入の際はいいことを言ってもローンが完済出来ず、経営は大体中途で破綻をきたします。
その際に物件を営業で売り付けた業者は「物件の処分」も請け負って二度手数料を得て儲けるのです。
素人をカモにするような「やり方が汚いな」と感じて入社は当然しませんでした。
それに複数を購入するにしても物件ごとにイチイチ別に売買契約を結ばねばならないわけですから、
面倒な上に結局のところ「業者を儲けさせるだけ」ですよ。それは。
でしたら一棟のアパートかマンションを最初から購入したほうが投資のスピードも上がり、融資の額に対するレバレッジも利くでしょう。
ワンルームはファミリータイプに比して埋まりやすいと著者はいいますが、居住期間がファミリーに比して短くなるという点には言及してない。
さらにワンルームは物件の数が「供給過剰」であることも将来的な単身世帯の増加を考慮しても今後の空室リスクを下げるには至らないでしょう。
ファミリーは転勤などの理由がなければ引っ越さないと著者はいいますが、引っ越さないで長く住み続けてくれるならファミリーのほうがいいでしょうよ。
出入りの回転率が高いと言うことは「リフォーム費用が毎回掛かる」という点で旨みが薄い。
確かにそのリフォーム費用がファミリータイプでは掛かり過ぎでその点ではファミリーのほうが不利なんですが、
回転率との兼ね合いで一概にファミリーよりシングルがいいとは言えないです。
それと賃料は経年と共に相対的にはやはり低下傾向です。
著者が書く「リーマンショック以降で新規のワンルームマンションの供給が減ったから、将来的な単身世帯の需要のほうが旺盛になり、賃料も今後上昇して資産価値も高まる」というのは余りにも甘いというか、お粗末な論調かと思います。
そもそも新規の着工件数が減ったとしても、それ以前の供給で既にワンルームマンションは過剰な状態であり、分譲マンションは基本的に躯体がRC造(鉄筋コンクリート)もしくはSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート)で、法定の耐用年数は47年。(実際は50年以上は持つと思われます)
そうなると供給過剰状態は将来的にも変わらないということです。新規の分譲件数は今後も基本的にゼロになるわけではないですから。
物件の運営は管理会社に任せてしまえばわずらわしい業務からも解放されてラクだといいますが、そんな考え方は危険です。
基本的に「他人任せで儲けられる」などと考える方は不動産投資に向いていませんよ。
自分で努力してお客も付けるし、リフォーム費用も安くしようとするし、入居者の傾向や好みも常に最新のものを把握するような人にならないとダメです。
管理会社は所詮は投資家とは違うのですから、物件を購入する人とは目線が違います。
購入者に失敗は許されないのです。経営の破綻はすなわちダイレクトで自らのクビを締めることになるのです。
著者は経歴を見るに「自分で実際にワンルームマンションを購入して運営をしてないです」よ。
それでは所詮は「売る側の視点での都合のいい論調」でしかありません。
実際に複数を所有して経営を成功させていない著者のいうことには説得力が極めて薄いと言わざろう得ないです。
教訓「いきなりプラス収支は年月が経過したらいきなりマイナス収支」。