資本主義はつねに人間から収奪し続ける。ローベルト・クルツ『資本主義黒書』では、アルケオロジー(考古学)的に見ると、資本主義は決して豊かさをもたらさすシステムではなく、むしろ中世の方が人々は豊かだった、という学説を展開している。「資本主義は少数の者を富ませるが、その一方で大多数を乞食同然にする。これは歴史的な根本経験である」(上巻17頁)。日本のワーキングプア問題などはまさにこれで、海外の超低賃金労働=超低コスト生産と競合する国内資本にしてみれば、景気がよくなろうと絶対に改善できるものではない。人間が生きるためには、資本主義に代わる経済システムが探究されるべきだろう。この原著は、99年に刊行されてから、ベストセラーになり、ペーパーバック版化されてロングセラーになっている。訳者は「資本主義=市場経済(著者はこの両者を不離一体のものとみる)が続くかぎり、本書が古くなることはありえないだろう」(訳者あとがき)としている。「マルクスの理論は論駁されていない。それはようやく今日その歴史的な真理価値を獲得する」(下巻322頁)と言い切るクルツの分析は、マルクス・ルネサンスの新たな、輝かしい道標となるだろう。「訳者あとがき」で紹介されている、元フジサンケイグループ論説委員・松沢弘の著作『フジサンケイ帝国の内乱』(社会評論社)をあわせて読めば、日本資本主義の現実も理解できるだろう。