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資本主義から市民主義へ
 
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資本主義から市民主義へ [単行本]

岩井 克人 , 三浦 雅士
5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (9件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

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資本主義から市民主義へ
企業が牽引してきた社会のあり方、ひいては資本主義そのものの疲弊と矛盾が指摘され始めた今、我々が目指すべき次代の社会像を示す書。

著者は東京大学経済学部教授であり、今最も注目される思想家の1人でもある。歴史的哲学思想を基軸に新たな考察を加えた資本主義論、会社とは何かを根本から問い直す法人論を、昨今のIT(情報技術)による構造的変化などの最新事情を踏まえたうえで鋭く論じることで高い支持を得ている。本書は編集者との対談形式によって、岩井克人氏の思想や発言を網羅的に分かりやすくまとめたもの。

まずは「金融とは何か」の問いに答える。金融はあくまでも生産、消費からなる実体経済活動の派生にすぎないという世界観にとらわれていると、経済の本質を見誤ると指摘。実体経済の根源にはまさに「派生物」、すなわち「貨幣」があり、実は何の実体的価値もないはずの「貨幣」が我々の経済活動を支えていることを前提に社会のメカニズムをひもとかなければ、今後の進歩はあり得ないと主張する。

また、著者は今、資本主義論を超えたところにある「市民社会論」に注目していると語り、カントらの古典的哲学思想を織り込みつつ、我々が目指すべき新たな社会の基本設計図を示す。


(日経ビジネス 2006/09/11 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)

内容(「BOOK」データベースより)

貨幣は貨幣だから貨幣なのだ。貨幣を根拠づけるものはただ貨幣だけ。社会と人間を貫く自己循環論法が恐慌をも生めば、自由をももたらす―いまもっとも注目すべき思想家・岩井克人の思想の核心を明かす。

登録情報

  • 単行本: 277ページ
  • 出版社: 新書館 (2006/07)
  • ISBN-10: 4403231055
  • ISBN-13: 978-4403231056
  • 発売日: 2006/07
  • 商品の寸法: 19 x 13.6 x 2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (9件のカスタマーレビュー)
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13 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
偶々こじんまりとした趣味の良いバーに入ったら、隣で岩井さんが友達と飲んで話し込んでいた・・・耳をそばだてるとまさにあの話じゃないか。ラッキー。そんな本です。

「会社はこれからどうなるのか」や「会社はだれのものか」の読者にとっては格好の解説書。そして「ヴェニスの商人の資本論」「貨幣論」以来の岩井克人ファンにとっては構想中の「信任論」へと展開する論考のプレビューでもある。今後書かれるであろう岩井「経済学史」にも期待。資本主義(貨幣)も近代国家(法)も自ら拠って立つ根拠は無い。故に市民社会(言語)の倫理が危機を救う。
このレビューは参考になりましたか?
22 人中、19人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By ソコツ トップ100レビュアー VINE™ メンバー
形式:単行本
経済学者・岩井克人の思想(やがて「真理」になる可能性のある)の、現在における全体像がわかる本。言語・法・貨幣という、人間を人間たらしてめている根源的な三つの社会的な実体(遺伝子にはたぶん書き込まれてはいないが、しかし社会的な効力をもつという意味で実在的なメディア)をめぐって、岩井氏が彼のオリジナルなアイデアを、学者という自意識のもとあくまでも慎重に、けれど刺激はたっぷりの論調で、ひたすら語る。

誰もが価値を認めそれを使用するからこそ貨幣である貨幣のメカニズム、モノやコトのあいだに生じる差異をネタにして運動を続ける資本主義の原理、モノであると同時にヒトである会社や国家の歴史と現在、グローバルでリスキーな現代社会を再建するための倫理の探求、そして、そもそもこれらすべてを成り立たせている人間存在の不思議さ、その根底にある無根拠・無意味の不気味さ、謎、と、どこを読んでもすこぶるおもしろい。

三浦雅士さんが、いちおう「聞き手」ながらの大活躍である。でしゃばらない程度で、だけれども岩井克人の思想の核心や空前絶後の革命的な部分、あるいはその最大の魅力はどこにあるのか、本人以上にわかっているのではないかと錯覚させるような問題の本質の捉えっぷり、話題の方向づけの巧みさでもって、明快に示して行く。ときに三浦さん自身の見解も語りながら、いやそれは私は違うかなあ、と岩井氏に異論を出させることで、岩井思想の特徴をさらにはっきりとさせていく、なんともお見事な「編集」のテクニックであると思う。

ちなみに、初出は大部分が『大航海』誌上における対談の記録。最終章だけは語りおろしである。雑誌をすでに読んでいる方には、特別あたらしい情報はあまりないのだが、改めてまとめて読んでみるだけの価値は十分にある。なにしろ、今後の世界の思想界を席捲するかもしれない重大な哲学が、そこにはあるのだから。
このレビューは参考になりましたか?
19 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By モワノンプリュ VINE™ メンバー
形式:単行本|Amazonが確認した購入
 いろいろ興味深い論点が示されているが、やはり本書のクライマックスは市民社会論だろう。資本主義は差異性から利潤を生み出すもっとも形式的で普遍的なシステムであり、これを超えるシステムはありえない。これに対抗するには同等に形式的な原理でなければならない。そこで岩井が持ち出すのが「カント的な定言命法による倫理性であり、それを基礎にしたグローバルな市民社会」(p127)だ。

「言語・法・貨幣に対応する市民社会・国家・資本主義という三角形モデル」の中で、国家と資本主義の基盤たる法と貨幣はともに自己循環論法によって成立しており、本来的に不安定。だからこそ、両者に還元され尽くさない「第三の人間活動の領域としての市民社会」を必要とする(p267)。

 岩井は法人組織における信任の問題をテコにして、資本主義の核心部に倫理性が要請されていることを示す。この倫理を共同性に還元しようとする三浦に対し、岩井はそれは「超越性」なのだと言う。そのとき岩井が依拠するのが、「公理体系から論理的連鎖を積み上げて達する真理」と「見たとたんにそれ自身が真理だとわかる真理」(p130他)の区別。後者の例がゲーデル問題であったり、ここがポイントだが、「基本的人権」であったりする。そしてこうした真理の発見が、歴史を不可逆的に進展させる(これを時間と呼んで、議論を一般化することも可能だろう)。

 岩井自身、まだ議論の構想途上と述べているが、本格的な市民社会論の早めの完成を祈りたい。「幻想」か「建設的虚構」かという呼び名を巡る岩井と三浦の応酬(p211)や、資本主義の本質的困難は「売ること」ではなく「買うこと」においてこそ露呈するという主張(p252)なども印象的だったが、ここではこれ以上書かない。
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