原題「buy ology - truth and lies about why we buy」がウィットに富んでいる。しかも、buyologyは著者がCEOを勤める企業の名前にもなっている。
この本では人が商品を認知したり、選択したり、実際に購入したりする際の脳の働きをfMRIやSSTを利用して実際に測定、もしくは、類推している。それによって導き出される仮説(事実なのかどうかは、個人的に、さらに時間と検証が必要だと考え「仮説」という表現を使わせてもらった)は、なかなかマーケターのツボを突くものばかりである。例えば、
・煙草の健康被害を訴えるメッセージは煙草への欲求を強化する
・プロダクトプレイスメントはコンテキストの上でのみ効果がある
・強いブランドと宗教は同じ脳活動を誘発する
・性的表現にはバンパイア効果がある
などなど。また共感や願望を司るミラーニューロンや、一般消費財については、いわゆる「すり込み」が瞬時に大量に情報処理されることで購買が決定するソマティック・マーカーという考え方も興味深い。
脳科学というと脳に電極のイメージがあるが(SSTはヘルメットっぽいので、あながちこのイメージは間違ってない)、それをより科学に、そしてマーケティングに近づけてくれる、悪くない一冊である。