この著者の作品を読むのは初めてだったのですが、
この作品に関してはかなりツボ、大当たりで楽しめました。
本にしか興味のない、冴えない貧乏公家の朝家が、
家計のために渋々結婚を決意したものの、
訪ね先を間違えて姫ではなく男(!)に夜這いをかけてしまった挙句、
反対に相手から自分が美味しくいただかれてしまう(笑)という
大笑いな冒頭。
作者後書きにある通り正に「孔雀攻め」な貴公子、蘇芳(偽名)に、
まんまとからかわれ、振り回される朴念仁で鈍感な朝家が、
何だか段々、素直で純朴で、可愛らしく見えてくるから不思議です。
蘇芳の隠された正体に絡めて、朝家には朝廷の仕事上の難題が
いくつも降りかかり、
その解決がお互いの理解を深めて結びつける理由にもなって、
書物にしか興味のなかった朝家が恋を知り、
世を避けて隠棲する蘇芳が朝家への思いに心を揺り動かされたり、
あまりにもちぐはぐな二人が徐々に惹かれ合う流れが自然で、
最後の大団円まで一気に読めてしまいます。
二人の会話にさりげなく引用される和歌や漢詩、
その仕事ぶりや、詳細な平安時代の描写も、
興ざめしない程にしっかり書き込まれて、くどくないので、
上下2段のボリュームでも、読みやすい作品です。
この後の、二人の朝廷での活躍や、
幸せな結婚生活がぜひ見てみたいところ。