私的には文章が少し難しくかったので、一回読んだだけですべてを理解できたわけではないのだが、理解できた部分だけでも十分面白かったし、次に読み返したときにはもっと面白く感じられるのではないかという予想を込めて星を5つにした。読む人の基礎知識にもよるだろうけど、社会の本質を人間の関係性として見る立場に同意できる人はこの本によって貨幣の重要性(著者のいう貨幣形式)を学ぶことが出来ると思う。
この本は貨幣の経済学的考察をしているわけではない。著者に言わせるとそのような見方は確かに重要ではあるが貨幣の一面的な見方でしかないという。またマルクス主義などの貨幣廃棄論は経済学的な見方しかしていないという点で同じ地平に立っているだけである。貨幣廃棄論は確かに魅力的ではあるが、過去に何度か行なわれようとした貨幣廃棄という行為は暴力を伴った悲劇で終わってしまった。その理由として、彼ら貨幣廃棄論者は貨幣のもう一つの重要性である貨幣形式を正しく認識できていなかったためだという。あまり自信はないのだが貨幣形式とは要するに他人との関係性を維持するための潤滑油みたいなものらしい。本書では文学や文字の考察を通して、人間行動の本質としての他者との交通の基本要素である会話と交換行動に焦点をあてる。会話の時間的・空間的制約を文字の発明が解放したように、空間的な制約を伴っていた交換行動は貨幣によって解放された。この文字と貨幣の対比により貨幣の重要性を説き、貨幣の本質を照らし出している。
以上のようにこの本は貨幣の経済学的考察ではないため、この本を読んでもお金持ちになれるわけではない。しかし新しい見方を提供してくれると思う。
最後に、ここで書いたことは本書の一部だけを理解できたつもりになっている私の理解であるため、本当はもっと奥が深いです。そのうえ私の理解は間違っている可能性があります。なので、いちお自分としては本書の一端を紹介したつもりですが、もしも本書に興味がわいて読みたくなったら、ここに書いた文章はきれいさっぱり忘れてください。