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27 人中、25人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
つげワールドがゆっくり旅をする。,
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レビュー対象商品: 貧困旅行記 (新潮文庫) (文庫)
すごいのは、一度も会ったことのない離婚歴のある女性だけれど結婚してしまえばそこに住みつけるという理由で九州へ旅立つ著者の発想である。このことにことさら云々といっているわけではないので、どうやらそういう感覚がこの人にとってはごく自然のことらしい。ふまじめである。いいかげんである。たまらなくステキだ。とてもいいくだりがある。新幹線で広島を過ぎたとき、一匹のハエが窓ガラスにとまっているのに気づいた著者は「このハエは私と同じように大阪から乗ったのだろう。するとこのまま九州へ行くことになる。九州へいったら戻ることはできない。そうしたら九州でどのような生き方をするのだろうか・・・」とぼんやり思う。つげワールドがゆっくり旅をする。
10 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
つげの世界は昭和40年代の日本にあった,
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レビュー対象商品: 貧困旅行記 (新潮文庫) (文庫)
本書にはつげ本人が撮影した写真がけっこう収録されているのだが、昭和40年代後半から50年代にかけてのモノクロ旅先スナップの風景は現在の日本ではすでに絶滅しているのではないだろうか。うらびれてひなびた景色の数々は行ったことはないけれど、どこか懐かしい。でもなぜか知っている・・・そうだ、10年前に読んだ筑摩書房から出ているつげ義春全集で遭遇した彼の漫画の世界であった。一読して発見したことは、なんとなく出不精のイメージがあったつげは日本全国津々浦々旅で巡っていることである。彼らしいのは観光地は皆無で、湯治場など渋くてマイナーなところばかり出かけているのだ。今もそれらのスポットは残っているのだろうか? 見る影もないのかも知れない。本書は漫画の方をある程度読み込んでから読まれた方が趣向が増すような気がする。
8 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
寂れた景色と、著者の逃避願望,
By potz (神奈川県) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 貧困旅行記 (単行本)
失われ行く日本の田舎の風景や人々との触れ合い、著者のやや屈折した逃避願望の2つが本書を面白いものにしている。著者は、日本全国の寂れた温泉地に赴き、老人ばかりが住む昔ながらの町並みのなか、古い旅館を泊まり歩き、ビジネスホテルなどでは味わえないような現地の人々との触れ合いを体験する。こうした古い町は、寂れた幻想的な雰囲気を醸し出す著者の漫画での風景のモデルにもなっているが、いまは失われつつあるものばかりで、著者の旅を追体験して秘湯めぐりを楽しもうかという気にさせてくれる。 また突然九州に蒸発旅行を決行したり、寂れた田舎への移住を本気で考えながら旅を続ける神経衰弱気味の著者の行動も面白く、人生には上昇志向やきらびやかな都会志向だけでないいろいろな発想があるのだと、読む者に語りかけてくるようでもある。
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