本書は、明治維新以前から続いてきた三井・住友と新興の三菱、および財閥になれなかった江戸時代の豪商、財閥に成り損ねた明治の政商など、幅広い企業体を扱っている。著者の得意とする数字と表からそれらの体質が無理なくスマートに解き明かされる。全体の構成がしっかりしており、論理的で納得のいく記述が多い。
三井を中心に、各財閥がそれぞれの時代をどう生き抜いたか、そしてその結果として現在の姿があるという政治的・歴史的なつながりが本書を読めばよく分かる。財閥の功罪はいろいろと論じられるところだが、その長きにわたって存続してきた点を財閥の「柔軟性」という言葉で著者は評価した。
そして今後の「財閥」は、どういう形で存続していくのだろうか。著者はどう予測しているのだろうか。本書はその点について触れてはいないが、興味深いところである。