本書はビジネス教養として財務でも勉強しようか、という余裕のある人にはあまり薦めない。むしろ、業務で日々意思決定を迫られている忙しいマネージャー向けの本である。自分の業務が財務的にどのような意味を持っているのかを理解したいという人であればなお良い。
序文で筆者も宣言している。
本書は、「素人にもよくわかる財務」といった類の本ではありません。本書は「意思決定」に関する本です(p2)。
ビジネスにおける意思決定が、財務的にも正しい意思決定であるためには、マネージャーは、財務マネジメントについて理解をしていなければならない。しかし彼らは日々の業務に忙殺され、専門的な用語や概念を一から体系的に学ぶ余裕はない。従って、専門用語を極力排した財務マネジメントに関する本が必要であり、そのニーズに応えるべく書かれたのが本書、というわけである。
本文では、「なぜ○○は必要なのか」、「××するにはどのようにすればいいのか」という問いかけが多用される。いきなり専門用語が出てきて問答無用に概念を暗記させるようなことはなく、ストーリーを立てて説明することに努力が注がれており大変理解し易い。また小節ごとのまとめが「骨子」として囲みになっており、スピードを上げて読む場合や、再読して知識を定着させるのに役立つ。
具体的な売上計画を策定するためのCVP分析や、予算と実績から、とるべきアクションを選定する差異分析などは、即戦力としてすぐにでも使えるだろう。
優れた良書であるが、苦言が一つだけ。本の売り文句「財務原則・マネジメント・意思決定を三位一体で理解すれば、自ずと本質は見えてくる」は本の紹介としては甚だ不適当(三位一体という言葉自体、本文には一度も出てこない)ではないか?。もちろんこの方が著者の印税には貢献するのだが・・・。